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2010年09月25日 ARMS DOWN! 東大寺大仏殿前で国内終了イベント

WCRP日本委員会主催の「ARMS DOWN! 青年宗教者からの発信:キャンペーン終了式典」が9月25日、奈良市の華厳宗大本山東大寺大仏殿前で行われ、加盟教団の青年、市民ら約3500人が参加しました。核廃絶と軍縮、国連のMDGs(ミレニアム開発目標)の促進を目指す「ARMS DOWN! 共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」は、国内では昨年12月にスタート。約10カ月間にわたる署名活動の結果、目標数である1千万人を達成しました。

式典では、北河原公敬東大寺別当を導師に大仏殿内で般若心経の読誦(どくじゅ)が行われ、参加者全員で平和の祈りを捧(ささ)げました。
田上富久長崎市長、秋葉忠利広島市長からのメッセージの代読に続き、庭野日鑛同日本委理事長があいさつ。次いで、北河原別当が登壇し、「宗教の垣根を超え、一つの目標に向けて結集した力が良い結果をもたらした」と述べました。
このあと、八坂憧憲同キャンペーン実行委員長(中山身語正宗青年本部長)から1099万1069人(9月25日午後4時現在)の署名数が報告されると会場から盛大な拍手と歓声が沸き起こりました。
続いて、岡田克也前外務大臣(民主党幹事長)が登壇。核兵器や軍事の予算を貧困で苦しむ人たちのために使えば世界は必ず変わると強調した上で、「1千万人が署名してくださった流れを世界に広げ、皆で平和で豊かな社会をつくっていきましょう」と激励しました。
ミゲル・デスコト・ブロックマン第63回国連総会議長のあいさつに続き、立正佼成会福知山教会青年部長が活動を通しての学びと今後の決意を発表。最後に、深田良一同日本委青年部会幹事長(円応教円応青年会会長)が、「日本は唯一の被爆国。65年間平和を守り続けた自信を持って、これからも平和に向けた取り組みを皆さまと共にしていきます」と力強く語りました。
なお、10月4日には米・ニューヨークで世界における終了イベントが行われます。

青年宗教者からの発信:キャンペーン終了式典
WCRP日本委 庭野理事長あいさつ(抜粋)

今日は新たな段階へのスタート 「平和の実」を絶えず植え続けて

いま、この会場には、「ARMS DOWN!」キャンペーンに取り組んできた全国の青年宗教者が結集しています。
皆さん、ほぼ10カ月におよぶ「ARMS DOWN!」キャンペーンへの取り組み、本当にご苦労さまでした。ありがとうございました。
皆さんのお顔を拝見いたしておりますと、達成感と同時に、今後への使命感が湧(わ)き上がっているように見えます。若いいのちの輝きは、本当に素晴らしいと思います。いつの世も、社会や国を良い方向に変えるのは、青年であります。皆さんの純粋性、理想を追求する姿勢、情熱が、活動の原動力になったのだと思います。その心は、人が生きる限り常に必要なものであります。WCRPの一員として、これほど心強いことはありません。
昨年12月、「ARMS DOWN!」キャンペーンの出発点となる「軍縮と開発のための青年宗教者サミット」が、東京で開かれました。その際、私は、メッセージの中で次のように申し上げました。
『全ての人の心に宿る善意、平和の願いを掘り起こす純粋な宗教者の活動にして頂きたい』と。
その願いは、皆さんによって、十二分に達成されたと受けとめております。
署名活動にあたっては、快く協力してくれる方は、それほど多くはなかったと思います。批判的な人、無関心な人に出会い、複雑な思いにかられたこともあったに違いありません。
しかし、皆さんの誠意が、人々の心に宿る善意、平和の願いを掘り起こし、批判的な人、無関心な人にも有形無形の感化を与えたことは、まぎれもない事実です。
そして同時に、皆さんは、出会う人々に対してだけでなく、自分の心の中に宿る善意、平和の願いを再発見できたのではないでしょうか。
それこそが、「純粋な宗教者の活動」なのではないかと思います。
また「ARMS DOWN!」キャンペーンでは、国連ミレニアム開発目標の達成を目指し、全世界の軍事費を10%削減し、開発に充てることなどを、具体的に訴えました。宗教者の活動は、ややもすると抽象的になるとの指摘もありますが、当面の目標として数字を示して提言したことは、多くの国民の気づき、世論を喚起する意味で、大変重要な役割を果たしたと確信しています。
今年8月6日、広島を訪れ、講演された潘基文(パンギムン)国連事務総長は、次のように述べておられます。
「昨年、世界の軍事費は1・5兆ドルを越えました。これは133兆円以上に相当する金額です。その一方で、人々と平和への投資は後回しにされています。世界は兵器過剰の状態にあります。平和の資金が足りません」と。
この発言は、「ARMS DOWN!」キャンペーンで皆さんが訴えてきたことと軌を同じくするものであります。
さらには、最近、オバマ・アメリカ大統領が、核兵器のない世界や軍事費の削減に言及されるなど、軍縮の機運は、近年にない高まりを見せています。
「ARMS DOWN!」キャンペーンは、こうした平和に向けた明らかな兆しを、世界的な潮流にまで結びつける重要な役割を果たすものであり、皆さんの願いは、必ず通じるものと信じています。
今日、この式典は、「ARMS DOWN!」キャンペーンの終了式典と位置づけられています。
しかし私は、今日はゴールというよりも、青年宗教者として、新たな段階へのスタートを切る記念すべき日なのではないのかと受けとめています。
なぜなら、皆さまが植え続けた平和の実は、これから芽吹き、葉を茂らせ、大きな樹となっていく可能性を持っているからです。
以前、私は、『木を植えた人』という本を読んだことがあります。
フランスのプロバンス地方で、55歳になる男性が、ひとり黙々と、1日100個のドングリを植え続けていました。最初の3年間で、彼は10万個の実を植えます。そこから2万本の芽が出てきました。
第一次世界大戦、そして第二次世界大戦の中も、彼はひたすら植え続けます。そして数十年後、荒れ果てていた土地は、森と緑の野に変わり、水が流れ、美しい村が出来上がるという話であります。
本当に世の中を変えるのは、一人ひとりの人間による、粘り強い、無私の行為であることを思い知らされます。
私たちが目指す平和活動とは、そのようなものなのではないでしょうか。
まして「ARMS DOWN!」キャンペーンは、日本国内のみならず、世界の宗教青年と手を携えて展開したものです。世界中に、無数の実が植えられています。
皆さんには、それを見守り、生長を支えていく重要な役割があります。そして、平和の実は、これからも絶え間なく植え続けていかなければなりません。
『Think Globally Act Locally』(地球規模で考え、足元から行動する)という言葉があります。
一人ひとりが、世界の恒久平和という衷心の願い、心の底に宿る願いを忘れることなく、それぞれの立場で、青年宗教者らしい歩みを重ねて頂きたいと思います。
WCRP日本委員会といたしましても、「ARMS DOWN!」キャンペーンの成果が、今後さらに活かされるよう努力してまいります。
皆さん、本当にご苦労さまでした。

(2010.10.1記載)