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2010年10月29日 教団付置研究所懇話会が第9回年次大会

『宗教者である研究者が集える領域づくり』をスローガンに掲げる「教団付置研究所懇話会」の第9回年次大会が10月29日、岡山・浅口市にある金光教本部の「金光北ウイング やつなみホール」で行われました。大会のテーマは『現代性へ/からの問い』。22の研究機関から80人が参加しました。立正佼成会からは中央学術研究所の天谷忠央元所長(同懇話会顧問)、藤田浩一郎次長ら5人が出席しました。

同懇話会は各教団に設置された研究機関が宗教、宗派の違いを超えて情報交換や研究協力の可能性を探ろうと9年前に発足。年次大会開催のほか、「生命倫理」「宗教間対話」「自死問題」の各研究部会による専門的な取り組みが進められています。
当日は、金光教の佐藤光俊教務総長による歓迎のあいさつに続き、「活動実践面からの発表・報告」として曹洞宗総合研究センターの宇野全智専任研究員、浄土真宗本願寺派教学伝道研究センターの野呂靖研究員、天台宗総合研究センターの村上興匡研究員が登壇。宇野氏は、人々の救済に努める僧侶の育成、そのテキスト作成に携わった経緯を紹介し、現代人の苦に寄り添う宗教者の役割について発表しました。野呂氏は「自死問題」への取り組みを基に宗教教団の社会活動におけるネットワークに触れ、人や組織をつなぐ「ハブ」機能としての教団の意義を示唆。村上氏は、宗教は本来的に「公益」なものとし、高齢者の孤独など社会問題に対応する地域に「開かれたお寺」の重要性を指摘しました。
午後は「教義面からの発表・報告」が行われ、『現代と仏教思想──親鸞の観点から』と題して真宗大谷派教学研究所の安藤義浩助手が、『世俗と宗教の間──「源氏物語」の洞察から』と題してオリエンス宗教研究所の田畑邦治研究員が研究成果を発表。全体討議では、参加者の質疑を基に、宗教者が社会問題に取り組む意義、人々の苦悩に接する姿勢、特定非営利活動法人との協力のあり方などについて意見が交わされました。

(2010.11.5記載)