聖壇上の花御堂で灌仏する庭野会長。法話では、生きがいを持ち、前向きに生きる自らの心の安否を問う大切さを説いた
釈尊誕生を祝う「降誕会」式典が4月8日、大聖堂で行われました。東京教区の会員約3千人が参集。式典では、庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われ、東日本大震災犠牲者慰霊並びに早期復興祈願の誠が捧(ささ)げられました。法話に立った庭野日鑛会長は、釈尊の説いた教えに従って今日、精進できることの意味合いに触れた上で、生きる上で一番大事な根本に目を向けていくことが大切であると強調しました。
式典では、光祥次代会長を導師に読経供養が行われました。式文で、庭野会長がおくった震災犠牲者の戒名が読み上げられ、追悼の誠が捧げられるとともに、早期復興の祈りが込められました。光祥次代会長は、庭野会長の啓白文を奏上し、聖壇上に設けられた花御堂(はなみどう)で灌仏(かんぶつ)しました。
このあと、稚児総代が讃歎(さんたん)文を奏上、佼成育子園の園児が『きれいなお花』の遊戯を披露しました。次に教団を代表して、渡邊恭位理事長があいさつしました。渡邊理事長は、被災地を視察に訪れた際に、現地の会員たちが菩薩行を実践し、救いの輪を広げている姿に触れたことを紹介。人間の本質である明るく、優しく、温かい心の働きで困難を乗りこえていくことが大切と述べました。
続いて、庭野会長が、聖壇上の誕生仏に甘茶供養を行ったあと、法話に立ちました。
この中で庭野会長は、約2500年前に釈尊が誕生したことにより、今日、その教えに従って精進ができると、釈尊出世の重大な意義を強調。その上で、在家信者に説かれた「五戒」(不殺生(ふせっしょう)、不偸盗(ふちゅうとう)、不邪淫(ふじゃいん)、不妄語(ふもうご)、不飲酒(ふおんじゅ))など仏教の教えが、日本の国民性を涵養(かんよう)する上で大きな役割を果たしたと語りました。
さらに、江戸時代の儒学の大家である佐藤一斎が著した『言志四録(げんししろく)』から「自ら吾が心を礼拝し、自ら安否を問う」との一節を紹介。「生きがいを持って人間関係をしっかりやっていこう、そういうわが心を礼拝して、自らその安否を問いなさい、という言葉であります。いつもそういう心を持っているかどうか、朝、目覚めるごとに自らの安否を問うことが大事だと受け取らせて頂いております」と語りました。
また、今のような時こそが、人間にとって一番大事な根本に目を向けるチャンスだと述べ、「無駄を省いて、人のために尽くす、心を一つにしてみんなで家族のように支え合っていく。そういう心構えをお互いにつくってまいりたいと思います」と法話を結びました。
式典終了後、大聖堂4階で、「おねり供養」が行われました。
(2011.04.14記載)
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