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2011年05月20日 震災から2カ月 安井利光石巻教会長に聞く

東日本大震災により、石巻教会が包括する宮城・気仙沼市や南三陸町、女川町などの沿岸部一帯は壊滅的な被害を受けました。震災から2カ月余り、これまでの教会の状況や現在の会員の様子、復興に向けた思いなどを安井利光石巻教会長に聞きました。

東日本大震災の被害に対し、全国のサンガの皆さまの物心両面にわたる多大なご支援に、心より御礼申し上げます。全国各地から寄せられた食料をはじめ、衣類や生活用品などさまざまな支援物資は、被災された会員さんを中心に、市民の方々にも提供させて頂き、皆さん、感謝の思いを口にされていました。本当にありがとうございました。
石巻教会では、11支部のうち、東、南、北、渡波、女川、東松島、気仙沼の沿岸部を包括する7支部が地震と津波による甚大な被害を受けました。会員さんの中にも家族を亡くし、自宅を失った方が多くいます。教会道場も1階部分が浸水するという事態に見舞われました。
震災直後には教会道場の2階に会員や近隣住民の皆さんが避難し、1カ月以上にわたり避難生活を送られました。この間、総務部長さんをはじめ会員さんが、自身も被災者でありながら自分たちのことを後回しにして、食事の支度や避難者の相談にあたり、避難生活を支えてくださいました。教会に避難していた人が自宅に戻る、あるいは親類宅に身を寄せる際、誰もが会員との別れを惜しみ、感謝の思いを述べておられました。
ある人は、自宅に戻ったあと、「みんなで食べて」と言って、家にある食料などをすべて教会に持ってきてくださいました。突発的な避難生活の中、近隣の方々と家族のような温かい人間関係が生まれたのは、み仏さま、開祖さま、会長先生のみ教えのおかげさまだと感謝しております。そして会員、未会員の区別なく、みんなが心を一つに協力し合えたことを通し、誰もが仏性をもっていると学ばせて頂き、深く感動しております。
震災から2カ月が経(た)ち、浸水した教会道場1階の法座席には畳が敷かれ、会員さん方の誓願によって当番修行やご命日式典を再開できるようになりました。そうした前進がある一方、今も多くの人が家族や自宅を失った悲しみや震災の恐怖、先の見えない生活への不安を抱えながら、一日一日を必死な思いで生きておられます。この2カ月、会員さんの安否や所在の確認に全力を尽くしてきました。今後も身動きのとれる会員さんを中心として、被災された会員さんの自宅や避難所を訪ね、一人ひとり、一つひとつの出会いを大切にさせて頂きたいと思います。
ある先輩幹部さんは、「あの人が心配だから」と毎日毎日、会員宅を訪ね歩かれています。こうした方々の姿を通して、創立以来、本会の中で大事にされてきた布教の心、布教のあり方がどれほど尊いか、改めて気づかせて頂きました。
震災の被害は大きく、復興には長い年月を要すると思います。しかし、だからこそ、今という瞬間瞬間を大切にしながら、会員さんと手を携えて多くの方と心通う触れ合いを重ねていきたいと願っております。

(2011.05.20記載)