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2011年06月03日 立正佼成会一食平和基金 平成22年次運営報告


一食運動を通して寄せられた浄財は、今年も国内外の諸問題解決に向けた事業に役立てられた(写真は本会とSVAが協働して進める「カンボジア仏教・文化復興事業」=©SVA)

「立正佼成会一食(いちじき)平和基金」の昨年次(平成22年次)の運営報告が、先ごろ同運営委員会(委員長=沼田雄司教務局長)から発表されました。「貧困の削減」「環境保全」「難民支援」など9分野に拠出された支援総額は2億3147万6483円。立正佼成会独自の平和活動、庭野平和財団に寄託助成する「南アジアプログラム」、国連機関やNGO(非政府機関)との協力による事業などさまざまな活動に役立てられました。

立正佼成会一食平和基金は、「一食を捧(ささ)げる運動」の実践を通して寄せられた会員の浄財を活用しています。同運営委員会では、昨年も国内外の諸問題解決に向けた平和活動を展開。「いのちの尊重」という観点から、9分野の中でも特に「貧困の削減」「環境保全」「難民支援」の推進に重点を置いた取り組みが行われました。
「貧困の削減」では、庭野平和財団に寄託助成し社会的に弱い立場にある少数先住民や女性たちを支援する「南アジアプログラム」をはじめ、深刻な食糧不足に陥るブータンの子供たちをサポートするWFP(国連世界食糧計画)への助成、「アフリカへ毛布をおくる運動」で集められた毛布の輸送費など5事業に6119万8155円を拠出。「環境保全」の分野では、紛争や大干ばつで疲弊したエチオピア・ティグレ州の開発を支援するREST(ティグレ救援協会)との協働による「エチオピア植林事業」などに950万5350円が充てられました。
「難民支援」では、特定非営利活動法人「ジェン」と協働してイラクやスーダンなど9カ国で支援活動を展開する「人道緊急・復興支援」や「ゆめポッケ」の輸送費など5事業に6640万2005円。「教育・育成」分野では、内戦中に破壊された仏教とクメール文化の復興を目的に、SVA(シャンティ国際ボランティア会)と共に植林活動や開発事業を行う「カンボジア仏教・文化復興事業」など四つの取り組みに3048万8244円が拠出されました。
国内外で発生した自然災害などに際して援助を行う「緊急助成」の分野では、昨年1月にハイチを襲った地震や同5月に宮崎県下で発生した家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)の被害などに3400万2500円を支援しました。このほか、昨年次から3年間にわたり試験的に実施される「地域応援プロジェクト」などさまざまな支援事業に浄財が活用されました。

貧困の削減 『庭野平和財団助成』


【アフリカへ毛布をおくる運動】毛布を手に喜ぶウガンダの親子。集められた毛布は難民や生活困窮者に届けられている

同財団は一食平和基金から運営資金を受け、2004年から『貧困の削減』をメーンテーマにインド、バングラデシュ、スリランカで「南アジアプログラム」を展開。インドでは昨年、『食の安全保障--社会的に弱い立場にある女性と子供のために』をテーマに現地NGO2団体に資金助成し、少数民族や女性の自立支援を行いました。バングラデシュでは、テーマを『疎外された最貧困にあえぐ人々の生活支援』とし、1団体と共に、カーストの最下層に置かれた人々に対し、縫製技術や家畜飼育の技能習得のための支援活動などに取り組みました。
また、公募による活動助成を年2回実施しました。

難民支援 『人道緊急・復興支援事業(ジェン)』


【ゆめポッケ】フィリピン・ミンダナオ島の子供たちに真心の込もったポッケが送られた

紛争や自然災害から逃れた難民、国内避難民らに対し、精神的、経済的に自立した生活を送るためのサポートを行っています。昨年は、国内外9カ所で支援事業を展開。1月に発生したハイチ大地震では発生直後から被災者にシェルターキットや食料を配布しました。アフガニスタンやスーダンなどでは、衛生教育の普及、給水施設の建設に取り組みました。
また、新潟県中越地震(04年10月)で甚大な被害を受けた十日町市池谷、同入山でも6年間にわたり復興を支援。過疎化を防ぐ地域振興活動として、村人と共に農作業や除雪作業に従事するボランティアの派遣などを行いました。

環境保全 『エチオピア植林事業(REST)』


エチオピア・ティグレ州でRESTと協働で進める植林事業。緑化が紛争や干ばつで疲弊した土地の保水力を高める

1993年からエチオピア・ティグレ州で、内戦、空爆、大干ばつで土地が疲弊した地域の開発を支援するプロジェクト「エチオピア植林事業」に現地NGOのRESTと協働で取り組んでいます。昨年は、96万本の苗木が植えられました。浄財はこのほか、現在ある五つの苗床の管理や、苗木生産にも充てられており、苗木は順調に育っています。

地域応援プロジェクト

昨年から、各教会が主体となって同基金の浄財の一部を活用する「地域応援プロジェクト」がスタートしました。会員に「一食運動」の意義や成果をより身近に感じてもらうことなどを目的に3年間にわたり試行されます。昨年次は、同運営委員会に選定された6教会が地域の諸課題の解決に取り組むNGOに資金助成を行いました。

緊急助成 『災害等見舞金・緊急助成』

昨年1月に起きたハイチ大地震の被害に対し、緊急支援を決定。WFPや特定非営利活動法人「AMDA」など4団体に寄託し、被災者救援に役立てられました。WFPは近隣国から高カロリービスケットを輸送し、被災者への食糧支援を実施。AMDAは現地の医療ニーズを調査し、地震によって負傷した人たちの外科治療を行いました。

(2011.06.03記載)