News Archive

2011年06月17日 「こころ ひとつに」プロジェクト発表 震災復興の総合的な取り組み示す


立正佼成会一食平和基金からは総額5億円が緊急支援され、県市町村など被災した各自治体に寄託された(写真右=佐藤雄平福島県知事、4月6日、福島県自治会館)

立正佼成会は、このほど、東日本大震災発生当初からの取り組みと今後の施策を総合的にまとめた「こころ ひとつに」プロジェクトを発表しました。震災の発生を受け、立正佼成会では、ボランティア派遣や、被災地の要請に応じた物資調達、心のケアなど物心両面にわたる迅速な支援を実施。支援の必要性が長期に及ぶことから、今年末まで継続的に活動を展開する方針が確認され、今後の具体的な復興支援のあり方が示されました。

「こころ ひとつに」プロジェクト 活動項目

プロジェクトには、立正佼成会の会員が“こころひとつに”なり、関係団体と協力しながら、救援・復興に取り組むための指針が示されました。これによると、生活基盤の復旧と心の安らぎ、生きがいの実感といった支援対象者の「自立回復」を目標とし、復興支援による出会いを通して「明るく 優しく 温かい」人間に成長することを柱としています。
活動は、(1)地域社会への貢献 (2)会員の自立支援 (3)教会の復興--の各分野でこれまで実施してきたことが継続して展開されます。特に、地域社会に貢献する分野では、本会がもつ社会的資源や宗教的精神、会員の志を、社会の求めに応じて可能な限り生かす方針です。
本会ではこれまで、東日本大震災対策本部(現・同復興救援本部)を設置し、被災地で支援を行う善友隊(援助隊)を派遣しました。3月下旬には、西日本の3教区(中部北陸、西日本、九州)で西日本対策本部を発足、後方支援にあたっています。
3月30日からは、善友隊の一環として会員ボランティアを被災地に派遣。釜石、仙台、石巻各教会の被災会員救援と併せ、宮城・多賀城市、同東松島市、岩手・釜石市、同大槌町などの社会福祉協議会と協力し、がれき撤去などの支援を行っています。6月4日までに117教会の852人(延べ約2300人)が派遣されました。
立正佼成会一食(いちじき)平和基金からは、緊急支援として5億円の拠出を決定。4月から5月にかけて被災地の各自治体に義援金を贈呈したほか、現地で活動するNGO(非政府機関)を支援しました。さらに、会員支援のための義援金募金を実施。また、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の緊急支援の街頭募金に協力しました。
本会は、被災会員、教会への支援とともに、地域社会への貢献を目指し、年内を緊急期間としてプロジェクトによる支援を続ける意向です。

会員の皆さまへ

立正佼成会理事長 渡邊 恭位

震災の発生から3カ月が経過しました。被災地では今なお困難な状況が続く中、再生、復興への動きも見られるようになりました。一方で、原発事故に関しては、事態収拾への努力が重ねられながらも、見通しの立たない状況が続いています。改めまして、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
本会は地震発生直後に教団本部に災害対策本部を設置、後に復興救援本部と改め、被災エリアのブロック、教会と連携を図り、情報収集やニーズの把握に努めながら、教団のあらゆる機能とネットワークを結集して物資、人材、資金、精神面など多面的に支援活動を展開しております。会長先生から「こころ ひとつに」という指針を頂き、被災地と全国の各教会、会員と本部が一体となり支援の輪が築かれました。
特に、全国の会員の皆さまには、3月中旬から5月末日まで、「被災会員への義援金」とWCRPの呼びかけによる緊急支援の街頭募金にご協力頂き、多くの真心をお寄せ頂きました。被災直後のニーズに応えた物資支援や会員ボランティアにもご尽力頂いております。この場をお借りして、厚く御礼を申し上げます。
教団本部では、これまでの支援の成果と課題を見極めながら、長期にわたる復興支援を念頭に、「こころ ひとつに」プロジェクトをまとめさせて頂きました。被災地の復興には長い年月を要し、地域によって状況や支援のニーズが異なります。その点にもしっかりと配慮しながら、被災された方々の主体性を尊重し、自立に向けた支援を目指してまいります。一つひとつの縁を通して、私どもは仏教徒として、仏さまのものの見方を身につけ、「明るく 優しく 温かい」人間に成長させて頂きたい。そのような願いをまた確認させて頂く次第です。
会長先生は、今回の震災を人間として成長する機縁としていく大切さをお説きくださいました。そのことを証明するように、被災された方々が、自らの置かれた状況の中で、「まず人さま」の菩薩行実践こそが、どのような時にも間違いなく自他の救いにつながる道であると、お示しくださっています。そのお姿に心熱くする思いです。困難な状況の中で救いの花を咲かせるには、常日ごろから私たちが人さまの幸せを願い、法をお伝えする、そのことにかかっていると言えましょう。私自身、日本中の、そして世界中の生きとし生けるものの幸せを具現する道としての「布教伝道」への誓願を、改めて強く心に刻ませて頂いております。
(教団東日本大震災復興救援本部責任者)

(2011.06.17記載)