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2011年09月16日 東日本大震災から半年 立正佼成会の取り組み サンガと共に一歩ずつ


共に泣き、笑い、歩み続ける被災地の会員たち。全国のサンガの祈りがそれを後押ししている(写真は9月10日、釜石教会で行われた「脇祖さま報恩会」式典後の大法座)

9月11日、東日本大震災の発生から半年を迎えました。警察庁のまとめでは、この災害による死者は1万5782人、行方不明者は4086人(11日現在)。避難生活者は47都道府県で8万2千人に上り、今なお約7千人が学校、公民館などの避難所で生活を続けています。立正佼成会でも、多くの会員が被災し、これまで被災教会と教区、ブロック、本部、全国の会員が心を一つに、被災地の支援に全力を傾注しており、今後も復興支援に継続的に力を注いでいく意向です。慰霊と復興への祈りに包まれた、現在の被災教会の様子とともに、同震災に対する立正佼成会の取り組みの概要を改めて紹介します。


WCRP日本委の緊急支援募金に全国の会員が参画。長期的、継続的な支援を市民に呼びかけた(写真は山口教会の街頭募金)

津波による被害は沿岸部の広範にわたり、多くの尊い人命と建造物をのみ込みました。本会の釜石、石巻、仙台の3教会で犠牲となった会員は532人(行方不明者を含む)に上っています。
現在、3教会が包括する地域のライフラインはほぼ復旧。震災後、避難所に身を寄せていたほとんどの会員は親戚宅や仮設住宅、民間の賃貸住宅などに居を定めました。震災以降、会員の安否確認に奔走してきた各教会は、地域が緊急救援期を脱するのに合わせ、通常の活動を取り戻しつつあります。大切な家族やさまざまなものを失い、悲しみに暮れる会員たちに寄り添おうと現在、サンガの祈りの詰まった取り組みが熱心に行われています。
釜石教会では幹部らが中心となり、全国から寄せられた支援物資を被災した会員へたびたび届けることを通し、孤独感を味わうことのないよう心を配っています。一方、同市で活動した善友隊(会員ボランティア)が市民などから高い評価を受けたことが励みとなり、新たな生活や布教活動に意欲を見せる会員もいます。
9月1日から、各当番修行を通常に戻したのは石巻教会。家屋が被害を受け住居を移転せざるを得なかった会員も多いため、現在は転居先、家族や生活の状況を細かく把握しようと「情報カード」を作成し、幹部らが中心となってきめ細かな触れ合いを重ねています。仙台教会では10月7、8の両日、大聖堂で「復興団参」を実施します。一人でも多くのサンガと共に大聖堂のご本尊を拝し、感謝と誓願を表したいと現在、活発な手どりを行っています。

被災会員の心に寄り添う

一方、地震、津波被害に加え、原発事故の影響を受けている福島ブロックの原町、平、磐城の各教会では困難な状況の中、サンガの懸命な支え合いが続いています。
全6支部のうち4支部が福島第一原発から20キロ圏内に位置する原町教会。多くの会員が避難を余儀なくされたため、現在幹部らが中心となり電話による安否や所在の確認に力を注いでいます。サンガは県内や近隣県のほか全国に散っており、北海道や沖縄で生活する人もいます。幹部会員らは電話連絡に加え、月2回、機関紙誌を郵送するなどし、サンガの健康や心の平安を祈っています。
平、磐城の両教会でも一部の会員は県内外で避難生活を送っています。ほぼすべての所在確認ができ、新たな住まいでのご本尊・ご法号の安置式も進められています。両教会では10月9日、それぞれに道場駐車場で「お会式」を実施し、万灯行進などを行います。全国からの支援に対する感謝の気持ちを新たにし、復興に向けた誓願を立てる機会とする予定です。
福島の各教会と同じく地震、津波、原発事故の影響を受けているのが茨城教会です。6月までは教会でのご命日式典や道場当番などを控えてきましたが、サンガ間のきめ細かな触れ合い、支え合いが続きました。現在も被災した会員の心に寄り添う取り組みが行われています。液状化の被害を受け、道場が閉鎖されていた佐原教会も9月1日より、通常に戻りました。震災から半年を迎える11日には、230人の会員が道場に集い、「新生 佐原教会の集い」を開催。道場に参拝できる喜びをかみしめ、さらなる精進を誓いました。

善友隊を現地に派遣

地震発生直後に、本会は東日本大震災対策本部(現・同復興救援本部)を設置。被災教会や会員の状況把握に努めるとともに、3月12日には根本昌廣外務部長を隊長とした善友隊(職員派遣)を現地に送り、支援物資を運搬し、ニーズの実地調査を行いました。この後、同本部では、被災地域のブロック、教会と密に連絡を取り合い、教会活動をサポートしながら、「地域社会への貢献」「会員の自立支援」「教会の復興」を活動分野として支援を展開。物心一如(いちにょ)の援助活動、被災者の主体性の尊重、地域特性への配慮などが重視されました。この方向性は、後日、本会の救援・復興支援の施策を総合的にまとめた「こころ ひとつに」プロジェクトにも明示されました。
初期対応から緊急援助の段階としては、物資援助、安否確認のサポートが活動の中心となりました。教会や拠点の損壊、ライフラインの断絶といった状況下で、釜石、石巻両教会道場は、公的な避難場所となり、大きな役割を果たしました。ブロックの近隣教会などからは被災教会に食料や燃料などが迅速に支援されたほか、栃木ルート(小山教会栃木道場を拠点)と西日本対策本部による中部北陸、西日本、九州の各教区からの支援品が届けられました。

5億円を緊急拠出

立正佼成会一食(いちじき)平和基金からは、緊急支援として5億円の拠出を決定。被災地の各自治体に義援金を贈呈したほか、現地で活動するNGO(非政府機関)を支援しました。さらに、全国の教会では、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の呼びかけによる救援募金と被災会員への義援金の取り組みが展開されました。サンガの真心である義援金は、震災見舞金、復興支援金として届けられ、被災会員を力づけています。佼成病院からは医療支援として、医師、看護師が現地に派遣されました。
各教会道場や第二団参会館などでは被災者の受け入れが行われ、青梅練成道場を避難所および仮設住宅建設用地として提供することも、東京都に申し入れられました。
緊急的な支援と並行して、徐々に復興に向けた活動にも踏み出しました。3月30日からは、善友隊の一環として会員ボランティアを被災地に派遣。釜石、仙台、石巻各教会の被災会員救援と併せ、宮城・多賀城市、同東松島市、岩手・釜石市、同大槌町などの社会福祉協議会と協力し、8月末までがれきの撤去や泥の排出、清掃、家財道具の搬出などの作業に携わりました。

心のケアに力注ぐ

少しでも被災者の心のケアにつながることを願い、カウンセラーの現地派遣、「やわらぎツアー」「子どもやわらぎツアー」なども実施。教団ホームページや機関紙誌を通じて、被災地への支援メッセージも発信されました。東京佼成ウインドオーケストラは復興応援プロジェクトとして、被災地で市民を招きコンサートを行っています。
被災会員の生活支援のための情報提供など、本部を窓口としたサービスも行われており、今年末までを緊急支援期間と定めた上で、本部の諸機関・部署、事業体など本会の総力を結集し、さらに息の長い支援活動を展開していくことが確認されています。特に、被災地の多様なニーズの中でも、宗教団体として、被災者の心のケアを重視。現地の団体やその他の団体とも協力しながら、支援を行っていく予定です。被災会員の避難先でも包括教会による手どりが行われ、サンガが寄り添っています。
被災地の会員にとって、大きな心の支えとなったのは、庭野日鑛会長、庭野光祥次代会長、渡邊恭位理事長の現地訪問です。訪問後、庭野会長はインタビューに対し、「今回、被災地を訪れ、皆が『家族』だと感じました。『家族』として心一つに絆(きずな)を深め、協力し、助け合っていきたい、そう願っています」と語りました。その言葉は、被災地の会員の心、そして全国の会員の心に、温かく染み込みました。


被災教会を対象とした「やわらぎツアー」。会員たちに和やかな癒やしのひとときが提供された(写真は石巻教会、山形県内の宿泊施設で)

(2011.09.16記載)