「創立74周年記念式典」が3月5日、大聖堂および各教会で行われました。大聖堂の式典には、会員約4000人が参集。法話に立った庭野日鑛会長は、「人を救い、世を立て直す」という立正佼成会創立の意義をかみしめるとともに、広い視野に立ち、世界の諸課題の解決に向けてあらゆる人々と手を携え、共に救われる道を歩んでいく重要性を説きました。また、UUA(ユニテリアン・ユニバーサリスト協会)のピーター・モラレス会長が祝辞を述べました。式典の模様は衛星放送を通じて全国各教会に放映。海外教会・拠点などへインターネットで同時配信されました。
大聖堂での式典は、会員の盛大な拍手に包まれて開式しました。青年女子部員16人による奉献の儀に続き、庭野光祥次代会長導師のもと読経供養。このあと庭野日鑛会長が登壇し、啓白文を奏上しました。
教団を代表して渡邊恭位理事長があいさつを述べたあと功労者表彰に移りました。庭野会長が感謝状と記念品を贈呈。功労者代表が「お礼の言葉」を述べました。
体験説法に立った学生部長は、「アフリカ毛布ボランティア隊」に参加する中で貧困やHIV/エイズといった問題を目の当たりにし、人生観、価値観が大きく変わったと発表。「一食(いちじき)を捧げる運動」の精神や「和」の大切さなど東日本大震災への支援を通して得た気づきを述べ、「人と人とのつながりが強い社会を新たに創造していく必要があるのではないでしょうか。その担い手が私たち青年です」と語りました。
また、本会の創立、WCRP(世界宗教者平和会議)の創設など庭野日敬開祖の生涯に触れ、「開祖さまのように世界の平和、調和に向けて自ら動き、周りに働きかけていく人になりたい」と誓願しました。
次いで、UUA(ユニテリアン・ユニバーサリスト協会)のピーター・モラレス会長が登壇し、祝辞を述べました。
法話に立った庭野会長は、仏教徒として三宝(仏法僧)に帰依する大切さを示したあと、三宝のうちの一つ、「法」の興味深いとらえ方として、『華厳経』に説かれる善財童子の修行のあり方に言及。童子が僧だけでなくさまざまな身分や職業を持つ53人から教えを受けたと詳説しました。
その上で、諸宗教との交流や対話の道を切り開いた庭野開祖の生涯に触れ、「ただ単に仏教という中に収まらない、もっともっと世界から学んでいこうという精神。これは本当に大きなことと受け取らせて頂きます」と述べました。またそれが「一乗の精神」と語り、あらゆる人と手を携え、共に救われの道を歩んでいくことが本会の果たす大きな役割と説きました。
最後に、佼成学園幼稚園の園児が、庭野会長に花束を贈呈しました。
大聖堂4階ホールの前方には、本会の発展に尽力し表彰を受けた功労者が笑顔で着座した
「創立74周年記念式典」来賓祝辞要旨
ピーター・モラレス師(UUA=ユニテリアン・ユニバーサリスト協会=会長)
1千を超える教会から構成されるUUA(ユニテリアン・ユニバーサリスト協会)を代表し、心よりご挨拶(あいさつ)を申し上げます。
立正佼成会とUUAの協力・交流は40年以上に及びます。庭野日敬開祖さまとデイナ・グリーリー博士は1968年に出会われ、すぐに打ち解けあい、いつまでも続く深く親しい交流を結ばれました。お二人はすべての人々に幸せになってほしいという願いを共にお持ちでした。個人的な友情に加えて重要なことは、お二人が教団同士の組織的な結びつきを築かれ、発展してきたことです。この関係を持続してこられたのは、お二人に共通の先見性、平和と信教の自由を尊ぶ価値観、そして合掌礼拝(らいはい)に基づく深い相互の尊重という揺るぎない心の基盤があったからだと思います。
昨年、私たちの年次総会に光祥さまがご参加くださいました。米国内のユニテリアン教会、ユニバーサリスト教会の二つの教会が統合し50周年という記念総会であり、4千人以上の代表者が集った全体集会で光祥さまに英語で素晴らしいご挨拶を頂き、最高の喜びの場となりました。
さて、私たちの継続的な友好関係は本当に注目に値します。なぜかと申しますと、このような友好関係が非常に珍しいケースだからです。私たちは、憎しみや暴力をつくりだすために宗教を都合よく利用する指導者を目にします。テロや残虐行為を宗教・宗派自身が正当化していることも知っております。悲しいことですが、宗教の違いにより分断され、相手を理解しようとせずに不寛容になってしまうことが、結局は無辜(むこ)の人々を死に追いやってしまう現実も毎日のように世界では起こっているのです。
立正佼成会と私たちは長年にわたって、宗教を平和と相互理解の力にしようと懸命に取り組んでまいりました。IARF(国際自由宗教連盟)で協力し、WCRP(世界宗教者平和会議)において共に歩み、軍縮問題や反イスラーム感情に取り組む事業に携わっております。 東日本大震災の発生以来、UUAとして救援活動のお手伝いができましたことを有り難く思っております。今日も支援の努力を続けており、本日は、皆さまがすでに展開されている救援事業に対し、昨年に続く追加支援として6万㌦をお持ちいたしました。
この寄付金は、全米中の会員から寄せられたものです。昨年、大津波のニュースが流れた直後から、事務所には支援を申し出る電話やメールが続々と寄せられました。あらゆるいのちへの思いやりは、私たち双方の信仰の中核をなす慈悲心であろうと考えています。
宗教団体が互いに尊重し、手をとり合うことが、今日以上に必要とされたことはありません。庭野開祖さまとグリーリー博士とが最初に出会った時の精神に立ち返った時、どのようなことが思いつくでしょうか?
私たちの教団では、青年や養成中の牧師たちを中心に、異文化宗教体験や学習の機会を提供する取り組みを始めています。異文化での生活を直接体験し、まったく異なる背景を持つ人々と共に学び合うことが、大きな意識の転換につながっていくことを私たちは経験しております。
私たちは文化の境界線を越えるとき、同時に精神的な境界線も越えることになります。自分と異なる人々を知ろうとすれば、その人々を理解することができるのです。その人々を理解できたとき、私たちは同時に、そこには共通の人間性があることを知り、やがて互いを慈しむようになるのです。
私たち相互の友好関係は、立正佼成会とUUA会員にとって素晴らしい宝物となってきました。今後ともさらなる宝物を生み出していけるものと確信しております。私たちは同じ道を歩んでおり、末永く、皆さまと「この道」を共に歩めることを心より願っております。
(文責在記者)
(2011.03.09記載)