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2012年03月11日 「東日本大震災犠牲者慰霊並びに復興祈願法要」厳修


焼香のあと、庭野会長が法話。聖壇上には4500羽の折り鶴が供えられた

未曽有の被害に見舞われた東日本大震災の発生から1年を迎えた3月11日、大聖堂をはじめ全国各教会で「東日本大震災犠牲者慰霊並びに復興祈願法要」が行われました。大聖堂の法要には約3500人が参集。庭野光祥次代会長を導師、青年部員181人を副導師に読経供養が行われ、犠牲者に回向供養の誠が捧げられるとともに、復興が祈念されました。法話の中で庭野日鑛会長は震災に触れながら、支え合う「善き友」の意義を強調。さらに、人として生まれた自らのいのちに感謝して生きる大切さを説きました。大聖堂での法要は全国各教会に衛星中継され、海外教会・拠点にインターネット配信されました。


全国の青年部員によって清書された犠牲者の「氏名用紙」が泉田青年本部長と各支教区代表の青年部員26人により奉安された

大聖堂聖壇には、行方不明者に捧げる4500羽の折り鶴が供えられました。
法要は、震災から1年間の被災教会の状況や教団の支援活動を収録した映像を放映し開式。「奉安の儀」では、全国の青年部員によって清書された犠牲者の「氏名用紙」が泉田和市郎青年本部長と各支教区代表の青年部員26人により奉安された。
東京教区青年女子部員33人による奉献の儀に続き、読経供養が行われ、導師を務めた光祥次代会長が庭野会長による回向文を奏上。甚大な震災の被害に触れながら、「私たちは、先人に倣(なら)い、目の前の困難な状況を乗りこえ、人間がこの世に生まれたのは、魂を磨き、仏性を開顕するためとの生きる目的を確かなものにし、その上に立って、良い社会や国家を築き上げる創造力を今こそ発揮する時であります」と復興を誓願しました。
被災地の現状やサンガの支え合いが映像で紹介されたあと、体験説法。
このあと、庭野会長が焼香。法話に立ち、「助けてくれる友」「苦しいときも楽しいときも一様に友である人」「ためを思って話してくれる友」「同情してくれる友」は親友であるとの仏典の言葉を紹介。人生で最も必要なものは友であり、震災を通して支え合うことができる「僧(サンガ)」の大切さを教示しました。
さらに、「大変な時だからこそ、人間として生まれた意味合いをしっかりと肝に銘じておきたい」と強調。教えを基にいのちを受けた有り難さを知り、生まれがいをかみしめて精進するよう説きました。
また、震災の復興では政治の役割が大きいと指摘。宗教・道徳と政治の関係について、宗教・道徳が社会化したものが政治であり、政治を内面化したものが宗教・道徳と説明しました。その上で、「政治家が本当に国のために働いてくださるよう、私たちは宗教を通して国のことを大きく考えていく。そういう一人ひとりになることが健全な国民であると言えます」と述べました。

被災地を包括する各教会で式典

被災地を包括する各教会でも犠牲者を悼み、復興を祈願する法要が営まれました。
釜石教会は3月10日、道場で「東日本大震災一周忌法要」を厳修。会員246人が集い、UUA(ユニテリアン・ユニバーサリスト協会)のピーター・モラレス会長、村山禎英奥羽支教区長が参列しました。遺族22人による奉献の儀、小林克州教会長導師のもと読経供養が行われたあと、『遺族からの手紙』と題し、会員代表5人が故人との思い出や感謝を語りました。
同日、石巻教会で行われた法要では、集まった会員220人が祭壇に白菊を献花。鎮魂の祈りと支え合いの願いを込めて造花で描いた『絆』『祈』の文字を祭壇に奉納しました。読経供養が行われたあと体験説法。あいさつに立った安井利光教会長は、ご供養の大切さをかみしめ、悲しみを抱える人の心の救われを願って触れ合いを重ねる大切さを話しました。
仙台教会は11日に道場で法要を営み、会員、近隣住民、山形、米沢の両教会会員合わせて約千人が参加しました。衛星放送終了後、会員代表4人が震災を通しての気づきや学び、また今後の誓願を発表しました。列席したUUAのモラレス会長のあいさつに続き、渡邊佳政教会長が結びの言葉を述べました。
このほか、同日に原町、平、磐城、茨城、佐原の各教会でも同様の式典が行われました。
また、地震発生時刻の午後2時46分に合わせ、甚大な津波被害を受けた沿岸部で犠牲者の冥福を祈る慰霊供養が執り行われた。
原町、平、磐城の3教会が被災した福島支教区では、沿岸部3カ所で慰霊祭を厳修しました。南相馬市の北泉海岸には原町教会の会員と会津、両沼両教会の青年部員合わせて約70人が参集。地震発生時刻に黙とうを捧げました。
北海道、奥羽両支教区の青年部員ら34人が釜石市の根浜海岸で式典を行ったほか、仙台教会は、包括地域内の10カ所で慰霊供養を厳修。各地では、会員はじめ多くの市民が集い、2時46分に心を合わせ、祈りを捧げました。
また11日午前、厚木、鶴岡両教会の青年部員ら37人が津波によって甚大な被害を受けた宮城・牡鹿郡女川町の女川病院前で慰霊供養を実施。震災犠牲者を悼み、復興を祈願しました。


被災地では、教会や沿岸部で会員たちが真心からの祈りを捧げた(写真は北海道、奥羽両支教区の青年の取り組み=釜石市)


南相馬市の北泉海岸には原町、会津、両沼の青年を中心に会員約70人が参集。大震災発生の時刻に合わせて黙とうを捧げたあと、髭題目(ひげだいもく)を流して犠牲者の冥福を祈った


献花に鎮魂の祈りを込めて--釜石教会は10日、「東日本大震災一周忌法要」を実施。246人が参列した


震災発生時刻に合わせ、会員宅跡など10会場で市民とともに法要を厳修した仙台教会。すべての犠牲者の冥福を祈り、復興への誓いを新たにした(写真は名取市閖上(ゆりあげ)地区)

全国各教会で慰霊の祈り 復興へ思い寄せて折り鶴奉納

11日、全国各教会でも法要が営まれました。会員たちは被災者に思いを馳(は)せ、被災地の一日も早い復興を祈りました。また、地震発生時刻の午後2時46分には、黙とうが捧げられました。
甲府教会は1万6千羽の折り鶴で『こころ ひとつに あすにむかって』と記された高さ約1メートル、幅約3・5メートルのオブジェを制作し、法座席後方に設置しました。このほか多くの教会が式典で折り鶴の奉納を行いました。
北教会は法華三部経の通読に取り組み、犠牲者の慰霊と被災地復興の祈りを込めました。壮年部員72人が導師、脇導師などを担当。会員約280人が被災地へ思いを馳せました。神戸教会では岩手・陸前高田市や福島・南相馬市にも贈られた阪神・淡路大震災の復興を願う「1・17希望の灯(あか)り」の分灯をご宝前に供え、大震災を経験した者として、今後も被災地に心を寄せ続けることを確認した。
一方、本会IBC(国際仏教教会)は、普門館礼拝堂でのサンデーサービス(日曜礼拝)の中で法要を開催。同会員(在日外国人)約30人が参加し、英語による読経供養、釜石教会会員の体験説法のあと、法座を行いました。
他宗教と共に祈りを捧げたのは大田教会です。会員100人が東京・大田区の日蓮宗大本山池上本門寺で行われた「東日本大震災一周忌法要」に参列。読経供養のあと、犠牲者追悼と復興への願いを込め、境内の梵鐘(ぼんしょう)を鳴らしました。支部壮年部長は、「尊いいのちに感謝し、この先も犠牲者のご冥福を祈りながら生活したい」と述べました。このほか、鶴岡、三島などの各教会でも宗教協力による法要が行われました。

(2012.03.16記載)