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2012年03月06日 『人生苦』テーマに活発な議論 「第16回法華経国際会議」

『法華経と人生苦』をテーマに「第16回法華経国際会議」(国際伝道グループ主催)が3月6日から11日まで、埼玉・嵐山町の独立行政法人ヌエック(国立女性教育会館)で開催され、日本、中国、アメリカ、カナダ、シンガポールの研究者ら11人が参加しました。立正佼成会からは庭野統弘学林学長、篠崎友伸中央学術研究所前所長が発表者として出席。本会IBC(国際仏教教会)国際アドバイザーのミリアム・レヴェリング博士がコーディネーターを務めました。

米・ベイツ大学のジョン・ストロング教授は、『ブッダ自身の苦について』と題し、釈尊自身が人生の中で苦をどう捉えたかについて「四諦(したい)の法門」に沿って解説しました。
また、『苦の中に生きる:バーナード・ロナガンと法華経』をテーマに報告した庭野学長は、キリスト教と法華経における「人間苦」の捉え方を比較。キリスト教では神を愛することが苦の消滅につながるのに対し、法華経に説かれる一乗の精神では、「生きることを通して仏の慈悲を実現していく中で苦を乗り越える」と説明しました。その上で、信仰の目的は「神の愛や仏の慈悲を実現することにある」と力説しました。一方、東日本大震災で被災した人々に、「苦の中にも仏の慈悲がある」と単純に言葉で伝えても受け入れられないと指摘。被災地を訪れた体験を紹介し、「深い苦しみに直面している人に対し、最初に我々にできることは、何も語らずともただ寄り添い、仏は苦を通してでも真の救いに導きたいと願っていることを念じ、静かに祈ることしかないのではないか」と話しました。
このほか、「法華経における救い」を多角的に考察した研究が発表され、議論が交わされました。
なお、参加者は会議終了後の9日、川越教会を訪問し、式典に参列しました。

(2012.03.23記載)