大西氏と戸松義晴日宗連事務局長が心の寄り添いについて対談した
日宗連(日本宗教連盟)の「第1回宗教文化セミナー」が3月14日、東京・渋谷区の國學院大學学術メディアセンターで開催され、宗教関係者や市民ら延べ約300人が参加しました。立正佼成会から渡邊恭位理事長が出席しました。
同セミナーは東日本大震災からの復興に向け、宗教者がどのように貢献できるかを考察するものです。
第1部は『東日本大震災と地域社会の再興』をテーマに行われ、石井研士・國學院大學神道文化学部教授が『宗教法人の社会活動と地域社会について』と題して講演しました。石井氏は、地域社会が神社や寺院と密接にかかわりながら発展してきた経緯を説明したあと、社会構造などの変容により人間関係が希薄になっている現状を指摘。震災で多くの宗教団体がボランティア活動に取り組んだことに触れ、人と人、地域と宗教の新しい「絆」を創出する必要性を訴えました。
続いて、稲葉圭信・大阪大学大学院人間科学研究科准教授が『被災地における宗教の関わり~今までとこれから』をテーマに講演。無縁社会が問題視される中、被災地でのボランティア活動を通し、「共感縁」ともいうべき人々のつながりが構築されたことを紹介しました。また、宗教者と共に被災者の支援活動にあたった体験に触れ、「傾聴」の重要性に言及。被災者の苦しみを受け止め、寄り添い続ける宗教者の役割を強調しました。
公開セミナーとなった第2部では、『こころに寄り添うということ』をテーマに大西秀樹・埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授が講演しました。大西氏は、末期がん患者やその家族との触れ合いを紹介しながら、家族との死別は人生で最もストレスのかかる出来事であり、遺族に対する精神的ケアが重要であることを訴えました。また、遺族を慰めるつもりの言動が結果的に相手を傷つけてしまう「有害な援助」について説明。一方、「有用な援助」として、同じ境遇の人たちとの交流、感情を吐露できる機会の提供などを挙げました。
(2012.03.23記載)
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