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2012年05月28日 「第5回仏教とキリスト教シンポジウム」 伊・ローマ 宗教指導者など100人集う


庭野学長と川本所長がスピーチ。フロアとの意見交換も活発に行われた

フォコラーレ運動主催による「第5回仏教とキリスト教シンポジウム」(立正佼成会が協力)が5月28日から31日まで、イタリア・ローマ市郊外のカステルガンドルフォにあるマリアポリセンター(同運動の研修センター)で開催されました。同運動のメンバーと日本、タイ、韓国、台湾の仏教指導者、オーストリア、スイス、イタリア、英国、米国のキリスト教指導者など約100人が参加。日本の仏教界からは天台宗、法相宗、北法相宗、日蓮宗の代表者、本会から庭野統弘・学林学長、川本貢市・中央学術研究所所長、赤川惠一・外務グループ次長などが出席しました。

同シンポジウムは2004年の第1回以来、隔年で同センターのほか日本やタイで開催されており、5回目の今回は『世界に調和と平和を築くため、聖典を解釈し、実践する』がテーマに掲げられました。
開会式では、同運動諸宗教対話センター責任者のクリスティーナ・リー氏のあいさつに続き、日本人参加者の紹介後、庭野光祥次代会長のビデオメッセージが放映されました。この中で光祥次代会長は、「神仏の真理の言葉を残す」聖典が「単に記録を残そうとしたのではなく、その聖典を活用して一人でも多くの人を救うため」にあると述べながら、「そこに込められた仏の真の願いを、一人ひとりが正しく掴(つか)み、現実のあらゆる場面に当てはめ、実践することこそ、世界に調和と平和を築く最も確かな道」との庭野日鑛会長が同シンポジウムに寄せたメッセージを紹介しました。
バチカン諸宗教対話評議会議長のジャン・ルイ・トーラン枢機卿は、諸宗教対話とは諸宗教の信徒同士の対話であるとし、人類の善のための協力を可能とする倫理的共通価値を諸宗教伝統の中に見いだしていく大切さを訴えました。また、同運動のマリア・ボーチェ会長は、第二次世界大戦中にイタリア・トレント市が空爆を受けた際に、同運動創始者のキアラ・ルービック師が防空壕(ごう)の中で同志と共に「聖書」を読み、戦争によっても「破壊されない理想」(愛と一致)を見いだしていった経緯について説明しました。
この後のセッションでは、庭野学長が『庭野開祖とご供養について/仏性開顕のために』と題し、スピーチを行いました。庭野学長は、法華三部経の結経「仏説観普賢菩薩行法経」を引用し、「一実の道、すなわち、みんなが共に仏になれる菩薩道(大乗一実の法)を信じ行じていく」庭野日敬開祖の教えとご供養との関係について論じました。また川本所長は、「根本仏教と『法華三部経』」を基盤とする庭野開祖の教えを実践する道としての「法座」に関して、具体的な事例を示しながら説明しました。
キリスト教の側からは、フォコラーレ運動のアントニオ・マヨロ師が「諸聖人のカリスマを通して、歴史の中で果たされた聖書解釈」との視点から発題し、アッシジの聖フランシスコをはじめとしたカトリックの聖人たちの聖書解釈、実践について述べました。プロテスタントのマルティン・ホッガー師は、「16世紀の宗教改革において、平和と調和を築くためにどのように聖書が読まれていたか」について論じました。
タイ仏教の指導者たちは『法句経/平和の条件』(パーラマハ・プーチャイ・ドージャイ師)、『仏教聖典にみる大切な平和の要素』(パーラマハ・ポーラキット・パンガム師)について述べ、台湾・佛光山のチューメン師は「佛光山では、それぞれの会員が八宗のどの経典からでも教えを吸収することができ」「それぞれの会員の指導方針には人間仏教を推奨し、地上に浄土を建立するために菩薩道に重点を置く」ことを強調しました。
参加者たちは30日、バチカンでローマ教皇ベネディクト十六世との一般謁見(えっけん)に参列。教皇は「仏教とキリスト教シンポジウムの参加者たちを歓迎する」と述べました。

(2012.06.08記載)