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2012年06月15日 本部環境マネジメントシステム 炭素排出量を削減 一般廃棄物量も目標達成


参拝受入グループ「電気部会」の会議。節電の取り組みや成果を確認する

教団本部はこのほど、環境マネジメントシステム(EMS)の取り組みによる平成23年の成果を発表しました。昨年の本部諸施設の電気、ガス使用量に基づく炭素排出量、一般廃棄物量(ゴミ)、職員の環境意識などに関して本部EMS委員会(委員長=川端健之総務局長)がまとめたものです。20年やそれ以前の平均値を基準値とし、項目ごとに目標値が設定されています。昨年は一部で目標に届きませんでしたが、全体を通して前進が図られました。なお、21年から23年までで第一期の活動が終わり、今年から3年間は第二期の活動が実施されます。


昨年9月に事務庁舎屋上に設置された太陽光発電装置

平成20年12月、地球温暖化をはじめとする環境問題の改善に向けて、教庁内で環境に配慮した取り組みを進め、国際標準化機構の「ISO14001」の認証取得を目指していくことが渡邊恭位理事長から発表されました。これにより、組織活動による環境への影響を持続的に改善する仕組み「EMS」を構築。翌年、取り組みの指針となる『環境方針』が示され、22年2月にISO14001を取得しました。
教庁ではこれに併せて、環境方針にある「基本姿勢」や具体的な行動を示す「行動指針」に沿って、職員の環境意識の向上を図りながら、温室効果ガス(二酸化炭素)の排出削減、ゴミの3R(リデュース=減らす、リユース=再使用、リサイクル=再資源化)を実施。第一期の3年間で達成すべき目標値を定め、各項目についての成果を1年ごとに集計してきました。
23年は炭素排出量を減らすため、空調管理に加え、待機電力の削減、小まめな消灯をより一層進め、さらに昨年9月に事務庁舎屋上に太陽光発電装置が設置されました。その結果、23年は前年から1092トン減の4486トンを記録。基準値の7791トンからは42・4%の削減となり、目標の8%削減を大きく上回りました。

一般廃棄物量は20年の166・9トンを基準値としましたが、21年は15トン増加。これを受けてEMS委員会は各施設から廃棄されたゴミを改めて調査し、職員のみならず、第二団参会館の宿泊者や普門館の利用者に紙資源の分別を呼びかけました。この結果、22年は168・6トン、23年は136・5トンと着実に減らし、目標を超える18・2%の削減を達成しました。

一方、アンケート調査で評価する「職員の環境意識」は、22年から1・2の上昇となる75・6ポイントを記録しましたが、3年間の目標としていた80ポイントには届きませんでした。同委員会では、職員の地球環境の保全への意識は年々、上がっているとした上で、これまで行ってきたエコリーダーを中心とした啓発活動、学習会などを通して、今後も意識の向上に努めていきたいとしています。

昨年で第一期の活動が終了。第二期の3年間は、『環境方針』の「基本姿勢」にある「簡素なライフスタイル」に力点を置き、3Rの推進のうち、特にリデュースに努めながら、炭素排出量や一般廃棄物量の削減に取り組んでいく予定です。また、本部の「省エネルギーの推進」活動を踏まえ、教会への情報提供も行われます。

本部EMS委員会委員長 川端健之総務局長に聞く

平成18年に京都で行われた第8回WCRP(世界宗教者平和会議)世界大会の宣言文、20年のWCRP日本委員会主催による「平和のために提言する世界宗教者会議」で採択された提言書には、持続可能な開発や環境保護の実践の必要性が示されています。
これらの内容を踏まえ、本部では20年から環境マネジメントシステム(EMS)の構築に着手し、環境に配慮した業務の推進に努めてきました。実施にあたっては、宗教界で環境問題に先駆的な取り組みをされている「生長の家」の方々に数多くのアドバイスを頂きました。また、「台湾佛教慈済基金会」の方々との交流を通し、環境に対する意識の高さに大きな啓発を受けたことも挙げられます。
EMSの活動の特徴は自主性、自律性です。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」のサイクルにより、全職員が自ら設定した目標に向け取り組みを進めてきました。第一期では、一部で目標未達成の項目がありましたが、リサイクルや節電を心がけたことで炭素排出量や一般廃棄物量は目標を達成するなど全体として前進が図られたと感じています。
私たちは、大量生産、大量消費による物資的な繁栄、経済成長こそが豊かさだと考え、エネルギー消費を拡大してきました。
一方、世界の人々が日本人と同じ生活をすると、地球が2・4個分も必要という指標があります。世界的に日本人はエネルギーを過剰に消費して暮らしているわけです。地球は一つしかありませんから、私たちが求める豊かさと地球環境は折り合いのつかない状況にあり、環境への配慮は「努力目標」ではなく、喫緊の課題と言えるでしょう。
とりわけ、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、私たちの生き方を見つめ直すよう問いかけていると思えてなりません。核廃棄物の処理についても、知れば知るほど責任の重さを痛感します。
最近、「自損損他」という言葉を知りました。「自らを傷つけることは他人を傷つけ、他人を害することは結局は自らを害することになる」という意味です。自分中心の行動が、自らを苦しめる結果を招いたという経験は誰にもあることではないでしょうか。私たちは世界の人々、未来世代のことを考えて行動していかなければなりません。
EMSの第二期は「簡素なライフスタイル」を心がけ、取り組みを進めていきます。活動を通し、すべてのいのちを尊ぶことによって自らも生かされる「自利利他円満」の願いを共有していきたいと思っています。

(2012.06.15記載)