『信仰と災禍――その不条理を問う』をテーマに、日本宗教ネットワーク懇談会主催の第2回シンポジウムが7日、東京・港区の慶應義塾大学で行われ、宗教者や研究者ら180人が参加しました。
同懇談会は、宗教に関係する人々が個人レベルで自由に対話や交流を行える場を提供し、宗教的精神の啓発に資することを目的としたものです。新宗連(新日本宗教団体連合会)結成50周年を機に提唱され、7年前に設立されました。
今回のシンポジウムでは、東日本大震災などを踏まえ、「信仰があれば災禍から逃れられるのか」という問いに焦点が当てられました。 シンポジウムでは、元真宗大谷派教学研究所所員の高柳正裕氏、千勝神社宮司の千勝良朗師、カトリック・フランシスコ会神父の本田哲郎師、金光教羽曳野教会長の渡辺順一師、日本テーラワーダ仏教協会比丘のワンギーサ師をパネリストに円卓形式で討議が行われました。同懇談会座長で玉光神社権宮司の本山一博師が進行役を務めました。
パネリストからは「信仰を持つことで災害に遭わないとはいえない」との共通した見解が示されました。その上で、信仰とは本来、災いに遭わないためのものではなく、困難の中に光や希望を見いだし、物事を前向きに受け止める心の持ち方を学ぶものとの認識が共有されました。
また、病や経済苦などに直面する人たちと触れ合った体験などが語られ、苦しむ相手と真摯に向き合い、寄り添うことが宗教者の役割との意見も出されました。
さらに、生命は有限であるとの認識が再確認され、水や空気など自分を生かすすべての存在に感謝し、慈しみの心を持ち、「今」を精いっぱい生きる大切さが語り合われました。
このあと、「全体討議」が行われ、会場の参加者を交えて、今回のテーマや信仰を持つ意義などについて意見が交換されました。
(2012.07.13記載)
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