混迷を深めるシリアの和平に向け、WCRP(世界宗教者平和会議)シリア委員会設立準備委員会の会合が8月28、29の両日、エジプト・カイロ市で開かれ、イスラーム、キリスト教の指導者、学者ら10人が参加しました。参加者は、シリアの内戦を終結させ、和平を築くための諸宗教協力の役割について協議。『宗教者による悲痛な叫び――シリアにおける殺戮(さつりく)に終止符を』と訴えるカイロ宣言を採択しました。
現在、シリアの諸宗教は紛争に巻き込まれ、政治的に利用されつつあります。こうした中、同準備委員会のイスラーム、キリスト教各派のメンバーは、高まる宗派間紛争の危険に対処するため、紛争の諸段階に即した諸宗教協力活動が展開できるよう、WCRP中東・北アフリカ委員会、同国際委員会と協力し、シリア全土の諸宗教・諸宗派の代表で構成され、平和構築の母体となりうるWCRPシリア委員会の設立に取り組んでいます。これまで、WCRP中東・北アフリカ委員会の主催で、3回にわたり諸宗教者による会合を重ねてきました。
今回採択されたカイロ宣言では、シリア全土に広がる殺戮と抑圧を拒絶し、シリア軍の即時撤退と、反政府勢力による殺戮行為の停止を呼びかけています。また、すべての政治犯と誘拐された人々の釈放を要請し、各国政府、国際機関に対し、国内避難民、難民に対する緊急の人道的支援、戦争で負傷した人々の医療支援を要請しています。
宗教指導者は、シリアの人々が自由、民主主義、正義、平等を渇望していることを訴え、高まる宗派間の対立、暴力に対し、国民和解を実現すべく平和へのメッセージを広めるため、諸宗教協力の母体構築への取り組みを強化することを誓いました。
WCRP「カイロ宣言」 シリアにおける殺戮に終止符を
WCRP(世界宗教者平和会議)中東・北アフリカ委員会の招待を受け、また、モロッコのマラケシュで2011年11月に採択されたマラケシュ宣言ならびに2012年2月にキプロスのラルナカで採択されたラルナカ宣言に基づき、我々シリアのイスラーム、キリスト教の宗教指導者、学者のグループが2012年8月28、29の両日、エジプトのカイロに集まり、悪化するシリア情勢について分析を行った。
我々シリアの宗教指導者は、痛みと苦しみを感じつつ、悲痛な思いで、我々の愛する国で人々が殺され、暴力を受け、尊厳が踏みにじられ、財産が破壊されることを非難したい。我々の悲痛な叫びは、シリアが築いてきた文化的、人的遺産の残虐な破壊に対するものであり、また、誘拐、恐喝、根拠の明確でない身柄拘束や脅迫に対するものである。
我々は、次のことを訴える。
1.すべての殺戮(さつりく)行為の停止。
2.政府軍の即時撤退と反政府勢力によるすべての軍事闘争の即時停止。
3.政治犯、良心の囚人、誘拐された人々、戦争捕虜の即時釈放。
4.自由、民主主義、正義、平和的デモを行う権利に対するシリア国民の欲求を尊重し、それらが正当な権利であると認識すること。
5.各国政府、国際機関に対し、人道支援を要請する。近隣諸国の医療機関に対し、紛争で負傷した人々の治療のために施設の提供を要請する。
6.WCRPの関連機関として本会合のフォローアップ委員会を設立し、以下の任務を行う。a.シリア社会を構成するグループ間の国民的調和と共存を脅かす要因を監視する。b.前記の要請を実現するため、国際機関やその他の団体との協力とコミュニケーションの架け橋を築く。c.報告、提案をWCRP中東・北アフリカ委員会事務局に送付する。
7.平和へのメッセージを広め、国民和解を実現し、恨みを捨て、市民権の理念を植え付け、国民融和を維持し、シリアのすべての国民の間の共存を強調する。
我々は、全世界の宗教者に対し、シリアを守り、シリアの安全、平和、繁栄を再び取り戻すことができるよう、共に神に祈りを捧げることを願う。
(2012.09.07記載)
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