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2012年10月19日 庭野平和財団 第5回「GNHシンポジウム」 地域社会の展望示す

庭野平和財団の第5回「GNH(国民総幸福量)シンポジウム」が10月19日、東京・中野区の中野サンプラザで開催されました。約80人が参加。立正佼成会から渡邊恭位理事長が出席しました。 

GNHはブータンの前国王により提唱され、GNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)といった経済発展の指標ではなく、幸福度によって豊かさを示そうとする概念。同財団は毎年、GNHに関するシンポジウムのほか、熊本・水俣で地域社会の再生を目指した「地元学」の現地学習会を実施してきました。
当日は、『日本の“むら”から未来を想像する――私たちの“生きる場”づくり』をテーマに、立教大学大学院の内山節教授が講演しました。冒頭、昨年発生した東日本大震災の惨禍に触れながら、日本は古来、生きている人間の考えや自然の摂理だけでなく、先人の心情を大切にしながら社会を形成してきたと説明。日本の地域とは、人と人、人と自然、人と先祖とのつながりが網の目のように関係し、成り立っている組織と解説しました。
また、日本のかつてのコミュニティーは、商業や文化の面で外部との多様な交流によって持続可能な共同体を形成していたと指摘。自身が暮らす群馬・上野村の現状に触れ、近年では都市部からの移住者が増加傾向にあり、絶えず外部の人とつながりが持てる「開かれた共同体」を目指していると述べました。
その上で、各コミュニティーで育まれ、大切にされてきた文化や伝統といった“場”に込められた願いを皆で共有する大切さを強調。開かれた共同体を目指すとともに、コミュニティーが培ってきた価値を共有することが「これからの社会づくり」と述べ、今後の地域社会の展望を示しました。
このあと、関西大学社会学部の草郷孝好教授がコーディネーターを務め、特定非営利活動法人「明るい社会づくり運動」の槇ひさ恵理事長、東アジア環境情報発伝所の廣瀬稔也代表理事、内山氏によるパネルディスカッションが行われました。

(2012.10.26記載)