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2013年02月08日 新宗連宗教法人研究会 第1回公開シンポジウム

『宗教法人と公益性――現状と課題を考える』をテーマに新宗連(新日本宗教団体連合会)宗教法人研究会による第1回公開シンポジウムが2月8日、セレニティホールで行われました。立正佼成会の役職者を含む宗教者、研究者ら100人が参加しました。

平成20年12月に新公益法人制度が施行されて以降、その適用法人ではないものの、「宗教法人と公益性」をめぐり関心が高まっていることを受け、今回のシンポジウムが企画されました。当日は白鷗大学法学部の石村耕治教授、同志社大学神学部の小原克博教授、國學院大學神道文化学部の石井研士教授が発題に立ちました。
『宗教法人と公益性をめぐる論点』と題して発表した石村氏は、宗教法人が「世俗的側面(俗)」と「宗教的側面(聖)」を併せ持つ法人と説明。憲法の「信教の自由」「政教分離の原則」を尊重する法律の仕組みとして、宗教法人には「聖俗分離」の原則が取られていると述べました。その上で、宗教法人法は世俗的側面にかかる事項について規定するものと指摘。宗教活動は、特定の聖職者や信者を超えて「社会全体の利益に奉仕する性格を有すると見ることができる」ため、税法でも「公益法人等」の扱いになっていると詳述しました。
次いで、『政教分離と宗教の公共性』と題し発表した小原氏は、「公益」という言葉が中立性を担保されず、「国益」と同義に扱われる危険性を示唆。公権力などから「よい宗教」「悪い宗教」と判別されることで、宗教固有の役割が失われることに懸念を表しました。
『宗教法人と公益性――社会状況の変化と宗教法人の活動』と題し発表した石井氏は、宗教団体による「宗教性の品質保証」「社会秩序の維持」「社会変革の機能」などを挙げ、その役割を紹介。ボランティア活動など顕在化されるものだけが社会的利益ではないと強調しました。
一方、宗教団体内部の権力闘争や宗教間の対立、戦争遂行の精神的支柱を担った歴史などが社会の不信につながっていると指摘。実際には、多くの団体が具体的な社会貢献活動を行っているにもかかわらず、認知度が低い点を挙げ、組織の情報開示に努め社会的な信頼度を上げることが必要と訴えました。
このあと、新宗連宗教法人研究会座長の本山一博玉光神社権宮司をコーディネーターに3氏によるパネルディスカッションが行われました。

(2013.02.15記載)