グナール・スタルセット師
「第30回庭野平和賞」の受賞者がノルウェー国教会オスロ名誉監督のグナール・スタルセット師(78)に決定しました。公益財団法人・庭野平和財団(庭野日鑛名誉会長、庭野欽司郎理事長)は2月27日、京都普門館で記者発表会を開き、席上、庭野理事長が発表しました。同師は諸宗教対話・協力を推進するとともに、グアテマラや東ティモール、ミャンマーなど世界の紛争地域で平和活動に尽力し、和解の実現に取り組んできました。国際的な信頼が高く、ノーベル平和賞委員会のメンバーを長く務めています。贈呈式は5月16日、東京・港区の国際文化会館で行われます。
スタルセット師 諸宗教対話・協力に尽力 紛争地域における信頼醸成に寄与
コフィ・アナン前国連事務総長と握手を交わすスタルセット師。平和にかかわる諸問題に、積極的にアプローチしてきた
「第30回庭野平和賞」を受賞したグナール・スタルセット師は1935年、ノルウェー・ノールカップのフィンランド移民の家庭に生まれました。子供時代には貧困と民族差別を経験しましたが、多民族地域の環境から自尊心を持ち、他者に寛容であることの大切さを学びました。
この経験がすべての人間、特にマイノリティー(社会的少数者)の人権と正義を守る活動に取り組む土台となりました。さらに祖先から受け継いだキリスト教の信仰によって宗教と政治に対する自らの使命感を育みました。
ノルウェー神学校卒業後、62年からハマール教区の青年牧師、64年からミッションスクール講師を務めました。70年にノルウェー国教会エキュメニカル(キリスト教の教会一致運動)国際協議会事務総長、85年にはLWF(ルーテル世界連盟)事務総長に就任。LWFでは東欧で民主化と独立運動が高まる中、国の枠を超えて加盟教会を助ける一方、南アフリカとナミビアの反アパルトヘイト(人種隔離政策)運動に積極的にかかわりました。
この15年間はキリスト教、イスラーム、仏教、ユダヤ教、ヒンドゥー教などにわたる幅広い宗教対話を進め、具体的な平和活動を目指した諸宗教協力に尽力。2006年から10年までは、ノルウェー政府特使として東ティモールの和平調停を担当。その後も特別顧問として活動を支えました。また、ミャンマーに関する特別ハイレベルフォーラムを開設し、委員長として手腕を発揮しています。
現在、WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会執行委員のほか、共同で設立したECRL(欧州諸宗教指導者評議会)の議長を務めています。同師のリーダーシップのもと、ECRLはイラク、スリランカ、コソボ、キルギスタンなどでの宗教間紛争の和解にあたるほか、地雷・クラスター爆弾の全面禁止の取り組み、HIV/エイズ問題における国際的な人道支援を推進してきました。
庭野平和賞委員会(各国で宗教協力や平和活動に取り組む11人の宗教者、識者らで構成)は、慈愛と寛容の心で多くの人々を受け入れ、宗教対話・協力により社会変革や平和構築の実現に努めてきた同師の貢献を高く評価し、今回の受賞を決定しました。5月16日の贈呈式では、庭野日鑛名誉会長から正賞の賞状、副賞として懸賞メダル、賞金2千万円が贈られ、同師による記念講演が行われます。
(2013.03.08記載)
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