セミナーでは、3カ国の宗教者らが「いのち」という共通の視点から意見を交換した
IPCR(韓国宗教平和国際事業団)主催の国際セミナーが7月4日から6日まで横浜普門館で開催され、金星坤(キムスンゴン)ACRP(アジア宗教者平和会議)事務総長をはじめ、日本、中国、韓国の宗教者、学者、市民団体代表者ら約40人が参加しました。日本から正式代表として眞田芳憲WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会平和研究所所長、山本俊正同特別会員(関西学院大学教授)らが参加。立正佼成会から庭野日鑛会長(同日本委会長)、川本貢市中央学術研究所所長らが出席しました。
IPCRは、WCRPの韓国国内委員会であるKCRP(韓国宗教人平和会議)の平和活動法人。同セミナーは、日中韓の宗教者らが東北アジアの諸課題を語り、平和共同体の樹立に向けて具体的な方策を探ることを目的に、2009年から毎年実施されています。今年、日本で初めて開催され、WCRP日本委員会が受け入れにあたりました。
今回は『東北アジア平和共同体構築のための課題と実践』をテーマに掲げ、公開講座やセッションが行われました。
5日の公開講座には同日本委の賛助会員ら約100人が参加。KCRPのキム・ヨンジュ共同会長(韓国キリスト教協議会総幹事)、CCRP(中国宗教者和平委員会)の黄信阳(ファンシンアン)副事務総長(中国道教協会副会長)、眞田氏がそれぞれ基調発題を行いました。
この中で、キム師は日本、中国、韓国は歴史的にも地理的にも関係が深く、別々に歩むことは難しいと主張。だからこそ宗教者は、三国間に存在する諸課題から目をそらさず、肯定的な態度で向き合うべきと話しました。その上で、人類の幸福に奉仕する共同体構築のため、平和と正義を呼びかけ続けることが必要と訴えました。
黄師は、中国佛教協会の会長を務めた趙樸初師と庭野日敬開祖との交流を述懐。日中両国の友好に貢献し、深い友情によって結ばれた二人の平和精神をいま一度学ぶことの重要性を強調しました。
眞田氏は、自然環境やエネルギー問題は世界に共通する普遍的課題であると指摘。宗教者は個人の救済にとどまらず、市民社会、政府、国際機関など多様な分野の人々と語り合い、普遍的課題に取り組むことが必要との認識を示しました。
公開講座に続いて、『いのちと自然環境』『いのちと国際協力』をテーマにそれぞれセッションが行われ、基調発題、3カ国代表からの発題に続き、討議が行われました。
この中で、人と自然は一つであるという中国の「天人合一」と同じ思想が日韓両国にも存在し、それが宗教的価値観とも通ずることが確認されました。また、日本の原発事故や憲法改正問題は東北アジア全体の関心事であり、すべてのいのちを守るために「倫理改革」を行うべきとの意見も出されました。さらに、祈りの集いや平和キャンペーン、平和教育といった具体的なアクションプランが示され、実施に向けた専門チームの設立が提案されました。
(2013.07.12記載)
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