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2013年09月06日 WCRP日本委 平和のための宗教者研究集会


11月にウィーンで開催される世界大会の事前学習会として実施された研究集会。参加者は基調発題や各界からの提言を通し、世界大会の意味合いや諸宗教対話の重要性などを学んだ

『第9回世界大会に向けて』をテーマに、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会主催の「第40回平和のための宗教者研究集会」が9月6日、セレニティホールで開催されました。同委員会の役員、賛助会員ら約100人が参加しました。立正佼成会から同委員会会長の庭野日鑛会長、同特別会員の庭野光祥次代会長、同理事の渡邊恭位理事長、国富敬二東京教区長が出席。基調発題で眞田芳憲同平和研究所所長が世界大会のメーンテーマである『Welcoming the Other(他者を歓迎する)』について解説したほか、各タスクフォース(特別事業部門)からそれぞれの取り組みや大会に向けた提案などが発表されました。また、各界から、大会への期待や提言が寄せられました。

同集会は宗教者が国内外の課題を研究、学習するもの。今回は、11月にオーストリア・ウィーンで開催される第9回WCRP世界大会の事前学習会として位置づけられました。開会のあいさつに立った庭野会長は、大会テーマに触れ、「他者を単に受け入れるのみではなく、相違を歓迎する意味合いを学んでいくことが大事」と述べました。また、世界平和の実現を目指す上で、「縁」を尊ぶ姿勢が重要であるとし、まず家族や隣人など身近な縁から見つめ直していく大切さを語りました。
次いで『第9回世界大会テーマについて』と題して眞田所長が基調発題。大会の開催が決定されるまでの経緯や概要などを説明したあと、大会テーマに掲げられた「他者」について解説しました。
眞田所長は、西洋・東洋文化などにおける「他者観」を論じたあと、イタリア・アッシジの聖フランシスコの詩「太陽のうた」を紹介。人間をはじめ動植物や風、雲に至るまですべての存在を兄弟、姉妹と呼び、神の創造物として賛美する見方に触れ、他者は自己と一致し、調和すると語りました。
一方、イスラームの世界観としてエジプトのアズハル大学元副学長のムハンマド・アブドゥルファディール・アル・コースィー師の言葉を引用。形や姿の違いに関わらず、すべてが互いに共鳴し合う存在という認識が聖フランシスコの精神に通じるとの見解を示しました。さらに、あらゆるものが関係し合うという仏教の縁起観に言及。宗教間対話は互いの共通項を見いだしていくことで可能になると述べました。
このあと四つのタスクフォースの責任者らが登壇し、各部門が進める取り組みや世界大会に向けた提言を発表しました。
東日本大震災復興タスクフォースは現地でのボランティア、慰霊など被災地支援の取り組みを紹介。また、核兵器廃絶・軍縮タスクフォースは現在約2万発の核弾頭が存在することを踏まえ、世界大会ではWCRP創設以来の願いでもある非武装、核兵器廃絶を強く訴える意向を表明しました。
MDGs(国連ミレニアム開発目標)タスクフォースは、現在検討中のミャンマーにおける女性や子供への支援事業を報告。平和教育タスクフォースは、シリア内戦に対する他国の軍事介入の危機が高まる中、武力によらない対話での解決が望ましいとの見方を強調。その上で子供たちへの平和教育の重要性を訴えました。
続いて、国連機関、報道関係者、学会から世界大会に寄せる期待や提言が発表されました。最後に同委員会理事長の杉谷義純・天台宗宗機顧問が閉会のあいさつを述べました。

(2013.09.20記載)