名誉大会長としてあいさつに立った庭野会長は、より良い社会や国を築く「先導役」を果たすのが、宗教者・信仰者の役割と説いた
『自然災害から受け継ぐもの――わたしたちは忘れません』をテーマに、「第35回世界連邦平和促進全国宗教者・信仰者東京大会」=主催・世界連邦日本宗教委員会(田中恆清会長=石清水八幡宮宮司)=が11月28日、大聖堂、法輪閣を会場に行われました。加盟教団の代表者ら約千人が参集。立正佼成会から名誉大会長の庭野日鑛会長、同委員会副会長で大会長の渡邊恭位理事長が出席したほか、関東近郊の会員が参加しました。
同委員会は、世界連邦運動に呼応し、1967年、国内の超宗派の平和運動組織として発足。69年に身延山久遠寺で第1回大会が実施されました。本会での開催は、庭野日敬開祖が大会長を務めた76年の第8回大会以来2回目。
開会式に先立ち、大聖堂で「世界平和の祈り・東日本大震災慰霊の祈り」式典が厳修され、佼成雅楽会による舞楽「蘭陵王(らんりょうおう)」の披露に続き、庭野会長があいさつに立ちました。
庭野会長は、日本は地震や津波など多くの自然災害に見舞われ、そのたびに先人が困難を克服してきたと歴史に言及。その上で「祖先に倣(なら)い、災害の経験を教訓とし、より良い社会や国を築く『先導役』を果たすのが、宗教者・信仰者の役割」と述べました。また、震災は、物の豊かさや利便性を追求してきた日本人が、生き方を正しくとらえ直す契機との見方を示し、一人ひとりの心に「知足」(足るを知る)の精神が根づくよう働きかけることが宗教者の重大な責務と語りました。
このあと聖壇上で宗教別の祈りが行われ、新宗教を代表し、渡邊理事長が同震災犠牲者に哀悼の誠を捧げました。
法輪閣で行われた開会式では、小田義海・浄土宗教誨師会副理事長を導師に、参加者全員で「祈りの言葉」を唱和。吉田茂穗・鶴岡八幡宮宮司による開会の辞の後、渡邊理事長、田中同委員会会長があいさつしました。
続いて『人の心に木を植える』をテーマに、宮城・気仙沼市でカキの養殖業を営む傍ら植樹活動に携わる畠山重篤・NPO法人「森は海の恋人」理事長が基調講演。津波で家族や漁具を失った自らの被災体験を紹介し、現在、国内外の支援を基に養殖業が再開されていることを報告しました。
また、自らが取り組む植樹の重要性に触れ、漁場の海には河川からの水が注ぎ込むことから、海と河川、上流域にある森は密接な関係があると指摘。自然豊かな森の再生と、河川周辺の市民の環境意識が、海の環境保全につながると強調しました。
次いで田中師をコーディネーターにパネルディスカッションが行われ、パネリストの畠山氏、宍野史生・神道扶桑教管長、稲場圭信・大阪大学大学院准教授が発言。同震災を振り返り、ボランティアの派遣や避難所としての施設提供など宗教者が行った活動の公益性などについて語り合いました。
閉会式では、桶屋良祐・念法眞教教務総長が自然に対する畏敬(いけい)の念、被災地の早期復興、宗教者の役割などを盛り込んだ「大会宣言文」を読み上げ、採択されました。最後に黒住宗道・黒住教副教主が閉会のあいさつを述べました。
(2013.12.6記載)
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