立正佼成会は6月20日、『「エネルギー基本計画」に対する見解』をまとめ、このほど発表しました。政府が先ごろ閣議決定した、国のエネルギー政策の指針となる同計画を受けて作成されたもの。原子力発電を「ベースロード電源」と位置づけ、原子力規制委員会の判断に基づく原発の再稼動を明記した同計画に対し、強く反対の意を唱える内容になっています。また、際限のないエネルギー消費につながる価値観の見直しや、環境に配慮した簡素なライフスタイルへの転換を呼びかけています。
平成23年3月、東日本大震災に伴って発生した東京電力福島第一原発の事故により、放射性物質が飛散し、多くの人々が避難生活を余儀なくされました。翌年6月、当時の民主党政権が福井県の関西電力大飯原発の再稼動を決定する中、同18日に本会は『真に豊かな社会をめざして――原発を超えて』と題する声明を発表。原発によらない社会を築く必要性を訴えました。さらに、同年9月1日は、その具体的な取り組みや目標を掲げた「行動方針」を示しました。
現在、原発事故の収束に向けた対応は続いているが、増え続ける汚染水の処理問題など予断を許さない状態は変わっていません。
そうした中、政府は今春、民主党前政権が掲げた「原発ゼロ」政策を転換。電力供給の安定化などを理由に原発を主要な「ベースロード電源」に定め、安全性が確認できた原発の再稼動などを盛り込んだ「エネルギー基本計画」を策定しました。
福島第一原発の事故後の状況、政府の電力政策を注視してきた本会は、中央学術研究所と外務グループを中心に、原発に関する議論を重ね、理事会審議の後、6月20日に最終的な見解をまとめました。
見解では、いまだ事故の全容が解明されず、約14万人が避難生活を送る現状に言及した上で、原発推進の姿勢を示す政府の計画に強く反対の意を表明。さらに、「再生可能エネルギー」を「重要な低炭素の国産エネルギー源」と位置づけながらも、その推進の具体策が示されていない点にも触れ、実質的な「原発回帰」の政策であると厳しく指摘しています。
その上で、「原発の負の部分から目をそむけ、経済的な豊かさのみが人間の幸せの源泉であると信じて、その依存度を高めてきた責任――それは私たち一人ひとりにあります」と明示。多くの犠牲の上にエネルギー消費を拡大してきた価値観や生活を見直し、一人ひとりが「少欲知足(足るを知る)」の生活に努める必要性を訴え、本会として環境に配慮した「省エネルギー社会」の実現に向け、引き続き取り組みを重ねていくことを表明しています。
(2014.7.4記載)
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