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2015年01月29日 『アジアにおけるミレニアム開発目標達成と今後の課題』 貧困や差別のない世界に WCRP日本委 「新春学習会」開く

『アジアにおけるミレニアム開発目標の達成と今後の課題~日本の宗教者の取り組み~』をテーマに、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の「新春学習会」が1月29日、法輪閣第5会議室で開催され、約200人が参加しました。

2000年に国連で採択された「ミレニアム開発目標(MDGs)」が今年達成期限を迎えます。同日本委は、12年にMDGsのタスクフォースを立ち上げ、達成に向けて学習会やプロジェクトの立案などを行ってきました。今回の学習会では、特にアジア地域の発展において、日本の宗教者の具体的な支援のあり方を学びました。
当日は、平和の祈りに続き、小児外科医師で特定非営利活動法人ジャパンハート代表の吉岡秀人氏が、『私の出会った“いのち”の記憶~途上国医療の最前線で戦う医師からのメッセージ~』と題して講演。国民の大半が貧困のため医療を受けられないミャンマーで、10年以上にわたり病を抱えた子供たちと触れ合った体験を振り返り、病を治すだけでなく相手の人生、心をも救うことが医療であると語りました。

続いて、国富敬二同日本委事務局長(立正佼成会杉並教会長)をコーディネーターにパネルディスカッションを実施。パネリストとしてACRP(アジア宗教者平和会議)事務総長の畠山友利氏、金光教泉尾教会総長の三宅善信師(同日本委理事)、中央大学名誉教授の眞田芳憲氏(同平和研究所所長)、吉岡氏が出席しました。
この中で、畠山氏はWCRP、ACRPの長年の取り組みを踏まえ、宗教や文化といった互いのバックグラウンドを理解し、手をとり合うことが差別や貧困の削減につながると述べ、そのためにも学びの場を設けていく必要があると語りました。また、三宅師は、経済や文化などさまざまな切り口から交流の糸口を探すことが大切との見解を示した上で、世界を結ぶWCRPのネットワークを有効利用した対話を続ける重要性にも言及しました。
次いで、眞田氏は、共存とは自ら歩み寄り、相手の立場になって考えることと説明。MDGsタスクフォースなどが進めるミャンマーでの「ストリート・シアター」プロジェクトに触れ、一緒に歌い踊りながら衛生観念を伝えることは、知識の習得だけでなく心が通い合い、信仰者として何より大切な愛を届けることになると話しました。
このあと行われた質疑応答では、先進国である日本にできる持続可能な取り組みとして、「一食(いちじき)を捧げる運動」など具体的な事例が提案されました。

◆メモ MDGs

開発分野における21世紀の国際社会の共通目標。2000年9月、国連ミレニアム・サミットで採択された「国連ミレニアム宣言」に基づき設定されました。「極度の貧困と飢餓の撲滅」「乳幼児死亡率の削減」「環境の持続可能性を確保」など八つの目標からなり、15年までの達成を目指します。これまで、各国政府、市民社会、民間セクターが取り組みを継続。いくつかの重要項目において期限までの達成が見込める状況だが、遅れが生じている地域もあります。国連では、政府から草の根のグループまで活動の再活性化を呼びかけるとともに、16年以降の「ポストMDGs」として、環境に重点を置いた「持続可能な開発目標(SDGs)」の策定を進めています。

(2015年2月 6日記載)