News Archive

2015年05月14日 第32回庭野平和賞贈呈式 WOWWI会長のエスター・アビミク・イバンガ師に キリスト教の愛を実践し、ナイジェリア社会の安定のために女性の力を結集


紛争状態にあるコミュニティー間の和解などに取り組むイバンガ師の功績を讃(たた)え、庭野名誉会長から賞状などが手渡されました

公益財団法人・庭野平和財団(庭野日鑛名誉会長、庭野浩士理事長)の「第32回庭野平和賞贈呈式」が5月14日、東京・港区の国際文化会館で行われました。受賞者はナイジェリアのキリスト教ペンテコステ派(プロテスタント系)の牧師でWOWWI(Women Without Walls Initiative=障壁なき女性たちのイニシアチブ)会長のエスター・アビミク・イバンガ師(54)。同師は2010年、ナイジェリア・プラトー州で女性と子供に対する殺りく行為の撲滅を目指し、WOWWIを創設。同国内を中心に、紛争状態にあるコミュニティー間の対話と調停、女性への職業訓練や社会的弱者の権利擁護などに尽力してきました。当日は、約150人の宗教者、識者らが見守る中、庭野名誉会長から正賞として賞状、副賞として顕彰メダル、賞金2千万円(目録)が贈呈されました。

イバンガ師は1961年、ナイジェリア・ナサラワ州で生まれました。アフマド・ベロ大学を卒業後、ジョス大学で経営学の修士号を取得。ナイジェリア中央銀行に16年間勤務し、本店国際局課長補佐、支店業務部長などを歴任しました。一方この間、「ジョス国際キリスト教伝道会」を設立。主席牧師として地域社会の貧困者や恵まれない人々への奉仕、青年や夫を亡くした女性、孤児への支援、講演活動を行いました。
ナイジェリアは1960年に英国から独立。その後、イスラームを信仰する北部民族とキリスト教を信仰する南部民族が対立し、激しい紛争を繰り広げてきました。2010年には、ムスリムが同国プラトー州のジョス近郊にあるキリスト教徒の村を報復襲撃。500人以上を殺害し、多くの女性や子供が犠牲となりました。
イバンガ師は、こうした長年にわたる紛争や暴動、悪質な事件で、社会的弱者が殺害される実情を危惧。女性や子供への殺りく行為の撲滅を目指し、女性が持つ創造性や非暴力の精神などによる紛争解決を目的に2010年、WOWWIを設立しました。以来、宗教や民族、社会階級など違いを超えた女性の連合体として、ナイジェリア国内を中心に、平和構築に向けた女性の職業訓練や社会的弱者の権利擁護、国内避難民や貧困者への援助、紛争状態にあるコミュニティー間の対話・調停活動などを行ってきました。
また、イバンガ師は畜産や農耕、建設業務などの経営を通じ、社会や経済の発展にも寄与しています。
贈呈式では、庭野平和賞委員会のシェイク・イブラヒム・モグラ委員長=英国ムスリム審議会副事務総長=により選考経過が報告され、庭野名誉会長から賞状と顕彰メダル、賞金(目録)がイバンガ師に手渡されました。
続いて、庭野名誉会長があいさつ。下村博文文部科学大臣(山中伸一文部科学事務次官代読)、ゴッドウィン・ンスデ・アボ駐日ナイジェリア大使(エセシエン・ンテキム駐日ナイジェリア大使館公使代読)、保積秀胤・日宗連(日本宗教連盟)理事長が祝辞を述べました。このあと、イバンガ師が記念講演を行いました。

「第32回庭野平和賞」贈呈式 名誉会長挨拶

第32回庭野平和賞受賞記念講演 『障壁を取り除くために』  エスター・アビミク・イバンガ師

(2015年5月22日記載)