被災者を取り巻く環境の変化に応じながら、継続的な支援が必要とされています。写真は釜石市の「お茶っこサロン」
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=沼田雄司教務局長)はこのほど、「一食岩手・釜石復興支援事業」として、現地で支援活動を展開する5団体に合計477万円を寄託しました。同事業は、岩手・釜石市の復興に向けて、被災者を継続的に支援するものです。一昨年の9月以降、非営利団体などを対象に合計500万円の助成が行われており、今回は2回目の実施となります。
東日本大震災から4年が経過し、岩手・釜石市では、被災地域の造成工事や復興公営住宅への転居が進む中、独居高齢者の孤立化や、住民の減少による仮設住宅の自治力の低下などが懸念されています。被災者の生活安定のため、さらなる支援が必要とされる一方、支援に取り組む各団体にとっては活動資金の確保が大きな課題となっています。
こうした状況を受け、同基金運営委員会では、同市でのボランティア事業の連携、調整を行う釜石市社会福祉協議会(釜石市社協)と協働し、助成の拠出先を検討。被災者の生活安定を目的に、継続的な仮設住宅でのコミュニティー支援や被災者の個別訪問を中心に活動を展開する5団体を決定しました。
助成先の一つ、曹洞宗岩手県宗務所ボランティアセンターは、釜石市社協が主催する傾聴を通じた「お茶っこサロン連絡会」の活動に、平成23年8月から参画。24年4月からは活動を甲子(かっし)町第7仮設団地に集中し、月2回の頻度でサロンを開催しています。また、年2回の仮設住宅内の大掃除や、炊き出しなどのイベント開催により、住民との信頼関係を築いてきました。サロン活動を通し、被災者がひと息つく憩いの場の提供に加え、仮設住宅でのコミュニティー形成に大きな役割を担っています。
同ボランティアメンバーの池田裕徳・曹洞宗正覚寺住職は「仮設住宅の皆さんは、つらい記憶や生活の再建に向けた願いなどをそれぞれお持ちです。心から聞かせて頂くことが、そうした皆さまの思いを尊重することだと思います。人とのつながりの温かさを提供することを願い、活動を継続していきたい」と話します。
特定非営利活動法人カリタス釜石では、仮設住宅での「お茶っこサロン」に加え、オープンスペースの運営や被災者を個別に訪問する見守り活動などにも取り組んでいます。
地域住民に開放されるオープンスペース「ふぃりあ」は、住民同士の憩いや出会いの場として孤立化防止に貢献しています。また、見守り活動では、「お茶っこサロン」で支援した被災者が仮設住宅から転居した後にも、その転居先を訪ねて支援を継続しています。訪問の際は、一軒あたりに掛ける時間や訪問件数にとらわれず、相手の要望に合わせたこまやかな対応を心掛けています。
カリタス釜石の伊瀬聖子副理事長は「相手の声に耳を傾け、痛みを分かち合いたいと願うことで、新しい環境に戸惑いを覚える方々の孤立感を和らげることができるのだと思います。震災から4年が経ち、初めて自身の抱える問題を話される方もいます。『お茶っこサロン』でのつながりをたどり、継続的に支援していくことが大切」と語ります。
(2015年7月 2日記載)
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