「コミュニティ・ウェルネス・フォーカシング講座――地域で機能するカウンセラーであるために」(パトリシア・オミディアン博士招聘委員会主催、佼成カウンセリング研究所共催)が9月23日、セレニティホールで開催されました。カウンセラー有資格者ら約110人が参加しました。中央学術研究所、大正大学が後援しました。
講師を務めたオミディアン博士(医療人類学)は、自己理解や自己治癒を促す「フォーカシング」という心理学的技法を用い、地域や職場、グループなどのコミュニティが、その潜在的な力を生かして問題を解決する「コミュニティ・ウェルネス(共同体の健康)」を提唱した一人です。この実践法に基づき、難民支援やエボラ出血熱対策などに取り組み、成果を上げています。
今回は、この実践法を学び、地域やコミュニティで機能するカウンセラーのあり方を研さんすることが目的。講座では、『コミュニティの健康のためのフォーカシングと回復力――内側からコミュニティを元気にする』と題し同博士が講演しました。
冒頭、健全なコミュニティを保つには、まずメンバー各人の精神的な健康が欠かせないと強調。その健康維持には、自身の感情を見つめ、自らの状態を受容するフォーカシングの技法が有効と説きました。
一方、コミュニティ内の人間的なつながりの強さが、各人の健康状態に密接にかかわると指摘。密な人間関係があれば、相談や寄り添いといった相互支援により、精神的病気の重症化を防ぐことができると話しました。また、貧困や感染症など地域の抱える問題の解決法は、地域で育まれた経験知にすでにあり、文化や伝統の中に解決法を求める重要性を語りました。
さらに、信仰心や感謝、思いやり、笑いといった感情、行動が精神的なレジリエンス(回復力)を生み出すことから、回復力を自ら引き出せるような支援がカウンセラーに求められると述べました。
講演終了後、佼成図書文書館視聴覚ホールでワークショップが行われました。
(2015年10月 1日記載)
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