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2015年10月23日 WCRP日本委 「ポストMDGs学習会」 活動報告と新たな取り組み学ぶ

『ポストMDGs時代における宗教者の役割』をテーマに、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の「ポストMDGs学習会」が10月23日、普門館国際会議室で開催され、同日本委関係者、立正佼成会会員ら49人が出席しました。

2000年に国連で採択された「ミレニアム開発目標(MDGs)」は今年、達成期限を迎えています。学習会では、同日本委が12年に立ち上げたMDGsタスクフォースの活動が報告されたほか、来年1月から新たに設定される「持続可能な開発目標(SDGs)」の内容を踏まえ、日本の宗教者の役割などについて学びました。
冒頭、同タスクフォース運営委員で本門法華宗の石川清哲師が、同タスクフォースがミャンマーで取り組んできた、エデュテイメントアプローチ(ゲーム感覚で遊びながらの学習)を通じてMDGsの啓発を図る「ストリート・シアター」プロジェクトについて報告しました。
続いて、UNDP(国連開発計画)駐日代表の近藤哲生氏が基調講演。「MDGs」を総括するとともに、来年1月から新たに設定される「SDGs」の概要を紹介しました。
近藤氏は、2000年からの15年間にわたる「MDGs」の取り組みにより、世界で一日に1.25ドル以下で生活する極度の貧困層が19億人から8億人に減少したことをはじめ、乳幼児死亡率の削減や就学率の向上など、複数の分野で大きな成果を上げたと報告しました。
一方、今後の課題として妊産婦死亡率の削減目標がほとんどの地域で未達成であると指摘。その原因の一つとされる女児の早期婚の慣習を規制した例として、アフリカ中央部に位置するチャド共和国が今年3月、児童婚を禁止する法律を公布したことを紹介しました。
続いて、格差や環境問題など平和に関する新たな項目を含む17の分野別目標と169の達成基準が盛り込まれた「SDGs」について説明。「貧困の撲滅」など「MDGs」よりも高い基準で目標が設定されている理由について、「インターネットを用いたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの発達により、各国政府や国際機関、民間組織などが垣根を越え、問題解決に協力して取り組むことが期待できるため」と述べました。
質疑応答では、神谷昌道ACRP(アジア宗教者平和会議)事務総長シニアアドバイザーが、宗教者が担うべき役割について質問。これを受け、近藤氏は世界が抱えるテロや格差問題について触れ、「諸問題を解決するためには教育の推進が極めて重要」と語り、宗教者がその役割を担う必要性を説きました。

(2015年10月29日記載)