『個人の尊厳と憲法改正――立憲主義の確立に向けて』をテーマに、新宗連(新日本宗教団体連合会)政治委員会の「第1回政治委員会拡大学習会」が12月12日、セレニティホールで行われ、宗教者など約250人が参加しました。
同学習会は、宗教界が直面する政治課題に対し、幅広い観点から問題の認識を深め、行動・立案の契機とすることが目的です。
当日は、宮本惠司同委員長(妙智會教団法嗣)のあいさつに続き、『個人の尊厳と憲法改正――自由主義・民主主義・立憲主義の意味』と題し、慶應義塾大学名誉教授の小林節氏が講演しました。
小 林氏は、人間の幸福の条件を「自由」「豊かさ」「平和」であるとし、国民の幸福の追求を支援することが政治の責務と説明。また、日本国憲法が保障する「信 教の自由」は、社会の中で生命の尊厳を支える「平和の礎」と述べ、「政教分離」の原則で保障されている、宗教に対していかなる国家権力の介入も認めない不 可侵性を強調しました。
次いで、東京外国語大学大学院教授の伊勢﨑賢治氏が『紛争なき世界のために――立憲主義と日本』と題して講演し、国際法の 「内政不干渉の原則」に基づき、「中立」の立場を堅持してきた国連平和維持活動(PKO)の歴史に言及。この中で、2005年、残虐な犯罪から人命を守る 責任を当該国家に代わり国際社会が負う「保護する責任(R2P)」が国連総会首脳会合(世界サミット)で採択され、11年初頭に中東諸国で本格化した一連 の民主化運動「アラブの春」以降、PKOの武力行使が正当化されている事実を説明しました。
その上で、今年9月に国会で可決、成立した安全保障関 連法により、「交戦権」を持つ現在のPKOに自衛隊が参加した場合、日本国憲法第9条の「交戦権の否認」の侵害になりうると指摘。PKOで唯一の非武装組 織「国連軍事監視団」への参加も視野に入れつつ、日本政府は自衛隊の法的地位を国際社会に表明する必要があると述べました。
このあと、同委員の根本昌廣立正佼成会総務部主席を進行役に、両氏が登壇し、質疑応答が行われました。
(2015年12月17日記載)
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