『障害者差別解消法について――差別の根底にあるもの』をテーマに、「同宗連」(『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議)の「第69回『同宗連』研修会」が1月19、20の両日、東京・新宿区内で行われました。立正佼成会を含む14教団と5団体から59人が参加。今回は、共生社会の実現を促す障害者差別解消法が4月1日に施行されるのに先立ち、障害者に対する差別に焦点が当てられました。
19日は同区立障害者福祉センターで、NPO法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議副議長の尾上浩二氏による講義が行われました。尾上氏は、同法成立の経緯と内容に触れ、同法が障害者への「不当な差別的取扱い」を禁止し、相手の障害に応じて伝達やバリアフリーなどの方法を講じる「合理的配慮」を義務づけていることを解説。「合理的配慮とは障害者に特別な権利を与えるものではなく、〝健常者と平等な権利〟を享受できるよう、社会的障壁を取り除くための調整」と説明し、関連省庁が作成したガイドラインを基に対応事例を紹介しました。
翌20日は全国障害者総合福祉センターに会場を移し、人工呼吸器使用者の日常生活を追ったドキュメンタリー映画を上映。この後、出演者の一人で、DPI日本会議特別常任委員の海老原宏美氏が『「尊厳死」法制化をめぐる問い』について講義しました。
この中で海老原氏は、終末期と判断された患者の意思に基づいて延命措置を控えることができる法案が成立することで、障害者の生きる権利が脅かされるのではないかと強い危機感を示しました。また、重度障害者の中には〝死ぬ権利〟を主張する人がいると話した上で、こうした背景には、家族の介護負担の重さや高額な医療費、障害者自身が社会的な存在価値を見いだせないといった要因があると指摘。「本当に必要な政策は、『生きているのがつらい』と思わせてしまう環境の改善」と訴えました。
(2016年2月 4日記載)
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