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2016年02月23日 「第33回庭野平和賞」がスリランカの「和解と平和構築センター」に決定


3年間の交流を経て2011年5月に行われたCPBR主催の諸宗教対話集会に参加した諸宗教のリーダー

公益財団法人・庭野平和財団(庭野日鑛名誉会長、庭野浩士理事長)は2月23日、京都市内のホテルで記者会見を開き、「第33回庭野平和賞」をスリランカの「和解と平和構築センター」(CPBR=Centre for Peace Building and Reconciliation)に贈ると発表しました。CPBRは、26年に及ぶ内戦とスマトラ沖大地震の津波災害に見舞われた同国で、民族や宗教、言語の違いを超えて対話を促進。傷ついた人々を支援し、社会の絆を回復する活動を各地で積極的に展開してきました。贈呈式は5月12日、東京・港区の国際文化会館で行われます。


CPBRを設立したディシャーニ・ジャヤウィーラ氏(左)とジャヤンタ・セネヴィラトネ氏

庭野平和賞は宗教的精神に基づいて宗教協力を推進し、世界平和の実現に向け顕著な功績を残した個人・団体に贈られます。125カ国、約600人の学識者、宗教者らの推薦を経て、庭野平和賞委員会(ビルギッタ・ランタカリ委員長=ヘルシンキ・ディーコネス協会国際部部長。宗教協力や平和活動に取り組む世界の11人の宗教者、識者らで構成)で厳正な審査を行い、受賞者を決定しました。
CPBRが活動するスリランカは、人口の73%を占めるシンハラ人とタミル人(18%)やスリランカ・ムーア人(8%)が暮らす多民族国家です。シンハラ人の大半は仏教徒の一方、他の国民はヒンドゥー教、イスラーム、キリスト教を信仰しています。
シンハラ人とタミル人の対立感情は、19世紀の英国植民地時代に英国がタミル人を行政府官吏に重用し、多数派のシンハラ人を統治させる「分割統治」を行ったことに起因します。その後、1948年の独立を経てシンハラ人政権が誕生すると、シンハラ人優遇政策が実施され、反発するタミル人の中から次々と武装組織が結成されました。
83年、政府軍と過激派組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)による戦闘が発生。以来、政府軍がLTTEを制圧する2009年まで内戦は続き、7万人が犠牲になりました。
CPBRは内戦の最中の02年、仏教徒で弁護士のディシャーニ・ジャヤウィーラ氏(47)と、同氏のパートナーであり、紛争和解の専門家であるケラニア大学准教授のジャヤンタ・セネヴィラトネ氏(65)によって設立されました。内戦の被害を受けた民衆の傷を癒やすとともに、民族間、宗教間の融和、和解を進め、人々の信頼と友情を醸成して社会の絆の回復に尽くしてきました。現在は8県の約120の村落で活動を展開しています。04年に発生したスマトラ沖大地震の津波被害に対しても、民族や宗教の違いを超えた相互協力によって問題解決を図る方法や生活を支える職能のトレーニングを被災地で実施し、復興に尽力しました。
CPBRは、「諸宗教対話によって理解と和解を図る」「若者の声や彼らが抱く夢に耳を傾ける」「女性の力を活用する」を活動の方針に据えています。宗教対話の活動としては国内5カ所に「諸宗教対話センター」を設け、仏教、ヒンドゥー教、イスラーム、キリスト教の指導者と対話のフォーラムなどを開催。「不平等と差別」による問題の認識を多くの人と共有し、壊れた関係を回復して平和と共存を促進しています。
庭野平和賞委員会は、「多様性」が対立の種ではなく、豊かさとして尊ばれる社会の再生に取り組むCPBRの功績を高く評価し、今回の受賞者・団体を決定。5月12日の贈呈式では、庭野名誉会長から正賞の賞状、副賞として顕彰メダル、賞金2000万円が贈られ、CPBRの代表者による記念講演が行われます。


昨年6月に開催された「国民フォーラム」の席上、CPBRの活動に携わる子供たちから政府高官に和解の提案書が手渡されました

(2016年2月25日記載)