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2016年02月28日 「日本臨床宗教師会」設立 記念シンポと発足式が開催される

宗教宗派の枠を超え、宗教者が協力して苦悩を抱える人々の悲しみに寄り添い、心のケアを行う「臨床宗教師」の全国組織「日本臨床宗教師会」が2月28日に設立され、京都市の龍谷大学で記念シンポジウムと発足式が開かれました。同会は臨床宗教師の普及とともに、将来的に資格認定を目指します。会長は宗教学者で上智大学グリーフケア研究所所長の島薗進氏。宗教者や宗門系諸大学の研究者らが顧問や理事を担います。なお、シンポジウムの開催と臨床宗教師養成には、庭野平和財団の支援が行われています。

「臨床宗教師」とは、被災地や医療機関といった公共空間で「死」にまつわる心のケアを行う宗教者をいいます。布教を目的とせず、苦悩を抱えるケア対象者の信仰観や価値観を尊重し、死への不安など心の痛みに寄り添い、「宗教的ケア」を行います。
東日本大震災の発生に伴い、宮城県宗教法人連絡協議会を主体に「心の相談室」が設置され、仏教やキリスト教など多くの宗教者が遺族のケアや相談にあたりました。この「心の相談室」の活動を踏まえ、2012年4月、東北大学大学院文学研究科実践宗教学寄附講座において「臨床宗教師研修」がスタート。WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会では「震災タスクフォース」を立ち上げ、当初から同講座を支援してきました。
現在、龍谷大学や高野山大学などでも養成コースが設けられ、これまでに宗教者や医療関係者など150人以上が修了。被災地での傾聴活動をはじめ、全国の医療機関や福祉施設で雇用されるなど活躍の場を広げています。さらに、今春から種智院、武蔵野、上智、愛知学院、鶴見の各大学でも講座が設置される予定です。
同会の設立を記念するシンポジウムと発足式には、宗教者や宗教学者、大学関係者など約250人が参加しました。
発足式では、音羽山清水寺の森清範貫主の祝辞に続き、島薗会長があいさつ。宗教離れが進む日本社会において同会の設立は「宗教者の力を利用した新しいムーブメントである」と期待を示しました。次いで同会設立の経緯や目的などが説明されました。

(2016年3月 3日記載)