米・ニューヨークの国連本部で5月3日、NPT(核不拡散条約)再検討会議が開幕、28日まで政府代表らにより議論が行われます。同会議には、世界から121のNGO(非政府機関)が出席し、国連本部内やニューヨーク市内で核兵器廃絶を訴える取り組みを行います。現在、核兵器廃絶や軍縮などを目指して「ARMS DOWN! 共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」を世界規模で展開するWCRP(世界宗教者平和会議)グローバル・ユースネットワークも同会議に参加。国連内でイベントを開催したほか、署名活動や平和行進に臨みました。各国の青年リーダーのほか、WCRP日本委員会青年部会から深田良一・円応教青年会会長、村上泰教・石鎚山真言宗教学部長が、新宗連青年会(新日本宗教青年会連盟)を代表して同委員長の保積志弘・大和教団嗣親が参加。立正佼成会から松本貢一青年本部長が出席しました。
NPT再検討会議は5年に一度、国連本部で開催されます。昨年4月にオバマ米大統領が「核なき世界」を提唱し、核軍縮の機運が高まったことで、今会議には国際社会の注目が集まり、実質的な成果が期待されます。唯一の被爆国である日本からは広島、長崎の被爆者ら多くの市民が現地を訪れ、さまざまな場で核兵器廃絶の重要性を訴えます。
現在、世界各国で「ARMS DOWN!」を進めるWCRPグローバル・ユースネットワークは2006年、広島と京都で開催された初の「WCRP青年世界大会」で発足。「ヒロシマ」で学んだことがその後のさまざまな取り組み、中でも核兵器廃絶、軍縮を目指す「ARMS DOWN!」の原点になっています。
NPT再検討会議に参加した同ネットワークのメンバーは5月7日午後、国連内で公開イベント『ARMS DOWN! 核兵器廃絶に向けた青年宗教者と被爆者との対話』(主催・WCRP国際委員会)に臨みました。
ウィリアム・ベンドレイWCRP国際委員会事務総長のあいさつに続き、広島出身の児玉さんが被爆体験とともに、核兵器の廃絶、平和の尊さを力強く訴えました。続いて、パレスチナ、ドイツ、アルゼンチン、日本の青年リーダーが発表に立ち、それぞれの国や地域での「ARMS DOWN!」の取り組みを発表。日本の深田師は、「この活動を通して、若い人たちに児玉さんら被爆者の願いをしっかりと伝えていきます」と語りました。このあと、児玉さんが「ARMS DOWN!」の署名用紙にサイン。来場したNGOとの意見交換も行われました。
また、前日の6日午後には、若者や買い物客で賑(にぎ)わう公園「ユニオンスクエア」で署名活動を実施しました。立正佼成会ニューヨーク教会会員も参加しました。同公園では01年9月の米国同時多発テロ事件の際、多くの市民が集い追悼のセレモニーなどが行われました。青年宗教者たちは、公園や沿道の一人ひとりに「ARMS DOWN!」の趣旨を説明し、署名を呼びかけました。パレスチナ人のオマー・ハラミィさんは活動を終え、「多くの人からサインをもらうことができ、地球は一つであると感じた。さまざまな宗教を持つ仲間と共に行動できることも本当にうれしい。帰国後もしっかりと取り組みたい」と語りました。
このほか、青年宗教者らは2日午後、市内での平和行進に参加。NGO代表や市民ら約2万5千人とタイムズスクエアから国連本部ビルまでを歩き、「ARMS DOWN!」の横断幕を掲げながら、核廃絶を訴えました。
秋葉広島市長と田上長崎市長がWCRP国際事務局訪れ、青年を激励
5月5日、NPT再検討会議出席のためニューヨーク入りしていた秋葉忠利広島市長と田上富久長崎市長がそれぞれWCRP国際事務局を訪れ、「ARMS DOWN!」に取り組む青年宗教者を激励しました。ベンドレイ同国際委事務総長、同役員のグナール・スタルセット・ノルウェー国教会名誉主教、同国際軍縮安全保障常設委員会委員長を務める杉谷義純師(天台宗東叡山寛永寺円珠院住職)が同席しました。
「ARMS DOWN!」の取り組みについて報告を受けた秋葉市長は、「時代を変革するのはいつも青年たちです」と励ましました。
田上市長は、「核兵器のない世界をつくるには、たくさんの人が思いを行動に表し、つながっていくことが大事」と述べ、青年宗教者との連携を約束しました。また、同席したカトリック長崎大司教区の高見三明大司教は「被爆マリア像」を披露し、非暴力による平和実現の大切さを訴えました。
(2010.5.14記載)