庭野平和財団が参画する「路上生活者支援連絡会」の「路上生活者・生活困窮者支援講演会および炊き出し支援ボランティア説明会」が6月19日、東京・新宿区の目白聖公会会館ホールで行われました。45人が参加しました。
同連絡会は、平成21年末に同財団や日本キリスト教協議会、新宗連(新日本宗教団体連合会)と路上生活者や生活困窮者の支援団体により発足した「越年対策連絡会」が前身。平成22年2月と4月の会議で、支援団体から冬だけでなく、梅雨の季節なども困窮を深める時期と伝えられ、通年での支援が必要との認識から、名称が変更されました。
当日は冒頭、主催者を代表し、同連絡会世話人を務める野口陽一同財団専務理事が平成21年12月に行われた路上生活者支援について報告。「年越しだけではなく、暑くなるこれからの時期が路上生活者の方々にとって問題が多い」と語り、ボランティア説明会の開催趣旨を説明しました。
続いて、特定非営利活動法人「釜ヶ崎医療連絡会議」の大谷隆夫代表と同「ホームレス自立支援市川ガンバの会」の副田一郎理事長が講演に立ち、活動を報告しました。
大谷氏は、バブル経済崩壊直後の「野宿者」の急増を指摘。その上で、生活保護法に定められた居宅支援の原則が実施されずにいた状況を、法的手段を用いて改善した取り組みを紹介しました。また、生活困窮者を狙った「貧困ビジネス」の問題や生活保護法について「生活保護法には問題もあります。よりよい法にしていくためにも、路上生活者が生活保護を受ける中で、どんな問題を抱えているか聞き取り、行政に訴えていくことが重要」と語りました。
副田氏は、千葉県市川市に点在する路上生活者の状況、ネットカフェ難民と言われる若い生活困窮者からの相談が近年増加していることを報告しました。加えて生活困窮者の精神疾患やアルコール、薬物の依存症に対する取り組みを紹介。アルコール依存症の人に専門医から抗酒剤が処方されていることに触れ「毎朝、十数人が病院に行って処方を受けます。そこでは会話も生まれます。一人で闘うのではなく、"一緒に闘っている"という意識になることが良い」と語り、孤立させないために訪問や連絡、会話の機会を増やすことが重要と強調しました。
一方、行政などから「費用対効果」の高い支援を求められる現状に対し、「それでは経済的に自立しやすい人に支援が集中して見落とされる人が出てくる」と指摘。「本当の意味での自立支援とは、障害を持った人、高齢の人たちにいかに人間らしく生きて頂くかというところでしか計れない」と語りました。
このあと、支援する8団体がブースを開き、ボランティア募集の説明会が行われました。
(2010.7.9記載)
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