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2010年07月31日 耳の聞こえない人・聞こえにくい人の第8回アイラブ団参を開催

「耳の聞こえない人・聞こえにくい人の参拝(第8回アイラブ団参)」(同実行委員会主催)が7月31日、8月1日の両日、大聖堂、普門館地下ホールなどを会場に開催されました。付き添いや手話通訳のボランティアを含めた89人が参集。参加者は「朔日(ついたち)参り(布薩(ふさつ)の日)」式典(手話通訳付き)に臨み、法座を囲んで学びを分かち合いました。また、1日の同式典を前に、大聖堂3階南側ロビーで庭野光祥祥次代会長と面会しました。

今年のテーマは、『コミュニケーション方法は違うけど仲間(サンガ)の気持ちを繋(つな)いでいこう』。31日、普門館地下ホールでの「つどい」では、実行委員長のあいさつに続き、参加者代表が体験を発表しました。
このあと、参加者は第二団参会館に移動。『佼成会を学ぼう』と題した研修に臨んだほか、ろう者の手話、難聴者・中途失聴者の手話、要約筆記の3グループに分かれて情報を交換しました。
翌1日の早朝には「朔日参り」式典を前に、大聖堂3階南側ロビーで光祥次代会長と面会。光祥次代会長は、「人間はそれぞれに悩みや苦しみを抱えながら生きています。心に悩みを持っている方もたくさんいらっしゃると思います。周りの方の心の表情が分かる皆さんが、そんな方の手をとって、たくさんの方にこの参拝に参加して頂けたらと期待しています」と述べました。
このあと、参加者は大聖堂での同式典に参列し、手話や要約筆記の通訳を介して体験説法や庭野日鑛会長の法話に接し、学びを深めました。式典終了後には、普門館地下ホールで法座と「交流会」が実施され、各人が感想を発表。「開祖さまのみ教えを学び、手話をもっと勉強したい」「人の痛みの分かる人間になりたい」など誓願の表明や気づきの報告があり、全員で学びを分かち合いました。
今回初めて参加した一人は、「今まで自分を人と比べ、周りの目を気にし過ぎていました。しかし、仏教には人と比べることは説かれていないと参加者の方から教わりました。もっと自信を持っていきたいと思います。とても楽しい2日間でした」と感想を述べました。

◆アイラブ団参の体験説法から

私は昭和50年に札幌で生まれました。1歳のころから言葉が遅いことを看護師だった母は心配していたらしく、5歳のときに「先天性の感音性難聴」と診断されました。初めて補聴器を付けた私は、両親や兄の声がはっきり聞こえたことがうれしく、「聞こえる! 夢みたい!」と話したそうです。
小学生になると、男の子たちに胸元の補聴器をじろじろ見られ、イヤホンを引っ張られたり、耳元で大きな声で怒鳴られたりして、怖くて泣いてばかりいました。クラスの友達ともうまく会話ができず、学校に行きたくないと母に訴え、「どうして私だけ聞こえないの」と話したこともありました。今思えば、一番言ってはいけない言葉だったと後悔しています。それでも母は、いつも笑顔で優しく接してくれ、そのおかげで私は救われていました。
高校生になり、母の勧めで「高校生練成会」に参加しました。親孝行の大切さを教わりましたが、教育熱心で厳しい父には感謝ができず、黙ってアルバイトや夜遊びをして反発していました。
専門学校のとき、友人の紹介で主人と知り合い、妊娠を機に結婚することを決めました。父に勇気を出して話すと、私が幸せになることを一番願っていてくれました。初めて父に感謝の気持ちを伝えることができました。結婚後は長女と長男を授かり、いのちをつなげてくださった両親や生まれてきてくれた子供たちに心から感謝ができるようになりました。

教会の方から聴覚障がいを持つ人の団参があると聞き、平成20年に初めて「アイラブ団参」に参加しました。会長先生のご法話を手話通訳を通して伺い、「どのいのちも平等で、比べることはない」という言葉が一番印象に残りました。私はいつも人と比べて卑屈になっていましたが、一気に解放された瞬間でした。
団参後、教会のご命日式典で喜びの発表をさせて頂くと、会員の皆さんから励ましの言葉をかけて頂きました。また、手話を覚えたいと言ってくださる方もいて、教会に手話サークルを発足することができました。現在、月2回、皆さんと楽しく手話を学んでいます。
今、「ARMS DOWN!」の署名活動に取り組んでおり、友人に協力をお願いする際に励ましの言葉や勇気を頂きます。私でなければ果たせない使命を託されて、この尊いいのちを頂いたことに気づきました。教えを実践する姿を子供たちに見てもらい、親子共々、仏さまの教えを身につけ、実践していけるように日々精進させて頂きます。

(2010.8.6記載)