庭野平和財団による「第3回GNH(国民総幸福量)シンポジウム」が10月22日、東京・中野区の中野サンプラザ研修室で行われました。70人が参加しました。
GNHはブータンの前国王により提唱され、GNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)といった経済発展の指標ではなく、幸福度によって豊かさを示そうとする概念。同財団ではGNHについての活動としてシンポジウムのほか、熊本・水俣で地域社会の再生に大きな役割を果たしている「地元学」に関する現地学習会を実施してきました。
今回のテーマは『GNHと地元学』。当日は冒頭、草郷孝好・関西大学教授が過去2回のシンポジウムの内容を振り返り、経済成長戦略が人々の幸福を必ずしも高めるとは限らず、多文化共生社会や地域のあり方が大きくかかわることを説明しました。その上で経済、社会、文化、環境など多面的に充足できる社会づくりを目指すGNHの概念を解説しました。
続いて、地元学ネットワークを主宰する吉本哲郎氏が『地元学の実践──水俣から世界へ』と題して基調発題に立ちました。この中で、町や村といった地域が元気を取り戻すには「人・自然・経済の三つの元気を整える」ことであり、具体的には「貨幣経済」「私的経済(自給自足)」「共同する経済(結い)」のバランスが重要と指摘しました。
さらに、水俣病の被害とその後の住民対立で地域が疲弊する中、いじめにあっても「人様は変えられないから自分が変わる」という生き方を貫いた水俣病被害者の杉本栄子さんに影響を受けて地元学が生まれた背景を紹介。「世間は変えられないから、水俣が変わる」の考えのもと、「無いものねだりをせずに、あるもの探し」に徹し、地域の自然や文化、人々の能力を生かして社会再生に取り組んできた経緯と成果を説明しました。
このあと、草郷、吉本両氏に、槇ひさ恵・明るい社会づくり運動理事長が加わり、鼎談(ていだん)が行われました。
(2010.11.5記載)
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