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2010年11月19日 佼成雅楽会が創立60周年 伝統文化の継承・普及に尽くす

みやびやかな音色で教団の式典の荘厳に大きな役割を果たしてきた佼成雅楽会が今年、創立60周年を迎えました。これまで、立正佼成会の主要な式典や行事での演奏をはじめ、定期演奏会、全国各地の神社仏閣での奉納演奏、社会福祉施設などでの訪問演奏を行ってきました。一方、学生を対象とした雅楽教室や全国各教会で演奏指導を行うなど、雅楽の普及にも努めてきました。今年12月5日には、法輪閣大ホールで「創立六十周年記念 佼成雅楽会公演~雅楽と天台声明(しょうみょう)の調べ~」を開催。当日は、天台宗東北大本山中尊寺の山田俊和貫首をはじめとする天台宗僧侶による「天台声明」との共演が予定されています。


杉並公会堂で行われた第一回定期演奏会。宮内庁から講師を招き、技術の向上に努め、臨みました(1963年)

佼成雅楽会は1950年9月、「仏さまのお徳を讃(たた)える荘厳な音楽を式典に取り入れたい」という庭野日敬開祖の願いにより、多忠朝元宮内庁楽部楽長を講師に迎え、「交成雅楽会」として発足しました。翌51年1月の「初詣(まい)り式典」で、「平調越殿楽(ひょうじょうえてんらく)」を初奏楽。以後、ご命日やお会式などの教団の式典で演奏しました。
60年、「佼成雅楽部」に改称。62年から宮内庁楽部楽師の多久尚氏、東儀良夫氏、芝祐靖氏を講師に迎え、演奏技術の向上に努めました。翌63年3月には杉並公会堂で「第一回定期演奏会」を開催。以降、古典から現代の創作曲まで幅広い楽曲に取り組み、多くの人に雅楽の魅力を紹介してきました。また、「比叡山開創千二百年式典」(87年)や「高千穂神社千百五十年大祭」(94年)などでの奉納演奏、社会福祉施設や小中学校での訪問演奏など、教団外での取り組みにも力を注ぎました。
76年、初の海外公演としてフランスで開催された「ユネスコ日本文化祭」に参加。98年には米国のUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)「春とまつり・ワールドミュージックコンサート」に招待されました。翌99年は、カナダで開催されたIARF(国際自由宗教連盟)第30回世界大会の開会式や文化イベントで舞楽や演奏を披露。世界平和の祈りを雅楽の調べに乗せ、諸宗教者にアピールしました。
78年に「佼成雅楽会」に改称。現在、約40人のメンバーが練習に励んでいます。大聖堂や全国各教会の周年記念式典での演奏、各地の神社仏閣での奉納演奏、定期演奏会などのほか、雅楽の講習を実施し、伝統文化の継承、普及に努めています。毎年、芳澍女学院情報国際専門学校で演奏指導や佼成学園中学で特別授業、全国各教会で講習を実施。演奏会と講習を併せて出演数は年間90回を超えます。
12月5日には、法輪閣大ホールで創立60周年を記念した定期演奏会「佼成雅楽会公演~雅楽と天台声明(しょうみょう)の調べ~」を開催します。第一部では管絃『太食調音取(たいしきちょうのねとり)』や『傾盃楽急(けいばいらくのきゅう)』、『輪鼓褌脱(りんここだつ)』を演奏。第二部では『雅楽と天台声明の調べ』と題し、天台宗僧侶の「天台声明」と共演する予定です。

≪お知らせ≫
「創立60周年記念 佼成雅楽会公演~雅楽と天台声明の調べ~」
【日時】12月5日 13時開演(入場無料)
【場所】法輪閣大ホール

◆創立60周年に寄せて──宮内庁楽部楽長補 多忠輝氏

戦後の混乱が続く中、佼成雅楽会は発足し、伝統文化を継承して、今年、60周年を迎えられたことは大変意義深いことです。雅楽会の方々が日頃、終業後や休日を使って練習に励み、立正佼成会の式典での演奏や定期演奏会を重ねてこられたことに敬意を表します。
明治以前からある伝統的な寺院を除いて、近代以降に結成された雅楽団体の中では、佼成雅楽会は"老舗"と言えるでしょう。これまで、優れた技術と指導力を兼ね備えた諸先生方のもとで演奏技術の向上に努めるとともに、多忠麿先生や芝祐靖先生のもと、国立劇場などの公演等に参加して、雅楽の普及にも尽くされてきました。
私は1995年から講師として佼成雅楽会に携わるようになりました。創立50周年の年に『嘉祥萬寿楽』の舞譜作成を依頼された時のことです。舞人の方々と試行錯誤しながら舞を作り上げる際、彼女たちの熱心な姿勢に驚かされました。演奏会での見事な舞を目にし、その努力に感動したことを今でも覚えています。
最近は、多くの雅楽団体が発足し、各地で活動しています。これからは、演奏技術に加え、装束や楽器構成など失ってはならない伝統様式を守り、その中で育まれた心を伝えていくことが一層重要になっていきます。佼成雅楽会には、立派な大太鼓や舞台があり、舞楽装束や管方装束も充実していますから、その役割は大きいと期待しています。
特に、立正佼成会には全国に教会があります。各教会をはじめ、教会の交流を通じて各地の神社、小・中学校を訪れて、生の音に触れて頂く機会を増やしていってほしいと思います。共に力を合わせ、多くの人に雅楽の素晴らしさを伝えていきたいと切望しております。

【プロフィル】おおの・ただあき 1959年、京都生まれ。9歳より多忠麿師に雅楽の手ほどきを受ける。72年に宮内庁楽部楽生になり、81年に楽師。昭和天皇の大葬の礼、今上天皇即位の礼など重要な儀式に携わる。楽生の指導にもあたる。歌、笙、右舞、琵琶を担当。現在、宮内庁楽部楽長補、東京芸術大学非常勤講師、東京楽所代表を務める。


「高千穂神社千百五十年大祭」での奉納演奏。教団外でも積極的に、伝統文化の継承や普及に努めてきました(94年)


IARF第30回世界大会で雅楽を披露。優雅な音色に世界平和の祈りを込めました(99年、カナダ)

(2010.11.19記載)