『東日本大震災と私たち-宗教者のまなざしと実践』をテーマに6月13日、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会主催の「第38回平和のための宗教者研究集会」が東京・大田区の日蓮宗大本山池上本門寺で行われ、同委員会の役員、賛助会員ら約200人が参加しました。
同集会は、宗教者が国内外の諸問題を学習、研究する目的で毎年開催されています。今回は、震災に対する宗教者としての受けとめ方や、「祈り」の心を基にした支援活動に焦点が当てられました。
集会では、神戸・生田神社の加藤隆久宮司が基調講演を行いました。
加藤師は、阪神・淡路大震災で同神社が被災した際、街と共に歩んできた神社の再興が地域の活性化につながるとの思いで復興に尽力した体験を述懐。今回の震災でも、多くの宗教者が復興に向けた祈りを原動力とし、被災者支援などに取り組んでいることを紹介しました。
一方、震災や津波で社寺施設が消失し、原発問題で氏子や檀家(だんか)が地元を離れるなど社寺存続の危機ともいえる深刻な現状を説明。宗教界が一丸となって問題解決にあたる必要性を強調しました。
さらに、震災を通して人間としての生き方を省みる重要性を示し、「大震災は私たちに、『人間は自然の中で生かされている』という価値観への転換を迫っているのではないか」と述べました。
このあと、眞田芳憲WCRP日本委平和研究所所長を進行役にパネルディスカッションが行われ、宮城・石巻市にある曹洞宗洞源院の小野﨑秀通住職、日本基督教団仙台市民教会の川上直哉主任担当教師ら4人が発言しました。
この中で、自らの寺院を開放し避難者を受け入れた事例や、地域の宗教者が協力して被災者の心の相談にあたる取り組みなどが紹介されました。また、震災を風化させないために一人ひとりが「被災者」の視点を持ち続ける大切さが確認され、宗教者として被災者のつらい思いに寄り添い、共に歩み続ける重要性が示されました。
(2011.06.24記載)
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