『核兵器のない世界に向けた緊急の共同行動』をテーマに「第23回国連軍縮会議in松本」(主催・国連軍縮部、同アジア太平洋平和軍縮センター)が7月27日から29日まで、長野・松本市のホテルで開催されました。世界24カ国から政府高官や研究者、NGO関係者ら92人が参加。WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会から非武装・和解委員の黒住宗道・黒住教副教主、NGO軍縮委員会理事として神谷昌道本会ニューヨーク教会長、立正佼成会から澤畠康友総務局外務グループスタッフが正式参加者として出席しました。
同会議は各国の政府高官や軍縮問題の専門家などが個人資格として参加し、核軍縮やアジア太平洋地域の安全保障について討議し、国際平和への意識を高めるものです。1989年から毎年、日本の各都市で開催されてきました。
開会式で開会発言に立ったハナロア・ホッペ国連軍縮部長兼軍縮担当上級代表次席が、「軍縮を達成するには市民社会がより大きな役割を果たす」と強調。また、東日本大震災で起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け原子力の平和利用の是非が議論されていることに触れ、「災害から学んだ教訓が世界的な原子力の安全性の改善につながることを希望します」と述べました。
次いで、基調講演に立った国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長が福島第一原発の事故は、人類にとって最も深刻な事故と説明。一方、原子力の平和利用に関し、各国と協力して、主導的な役割を果たしていきたいと述べました。
このあと、六つの全体会議では、核廃絶に向けた具体的な行動計画や中東地域での核開発問題、放射能の人体や環境への影響などを焦点に活発な議論が展開されました。
27日の『平和と軍縮に向けた機運の促進と“われら市民”の役割』と題した全体会議Ⅰでは、フィリピン戦略開発問題研究所所長兼理事長のカロリーナ・エルナンデス氏が発表に立ち、「軍縮は国家や専門家だけの問題ではなく、市民全員に役割がある」との見解が示されました。
これを受け、フロアから神谷教会長が「市民と専門家の間で、核軍縮に関する大きな差がある。ギャップを埋めるにどうすればいいか」と論点を提示しました。
その後の議論では、国家間の条約交渉にNGOの参加を正式に認めることなどが提案され、「核兵器のない世界を実現するためには市民社会の力が不可欠」と総括されました。
(2011.08.05記載)
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