「第35回生誕地まつり」(主催・第35回生誕地まつり実行委員会)が10月8、9の両日、庭野日敬開祖の生誕地である新潟・十日町市で開催されました。「生誕地まつり」は、同市名誉市民の庭野開祖の功績を讃(たた)えるとともに、市民と会員が交流を深め、十日町市の振興・発展に寄与することが目的。加えて、今年は東日本大震災、同市にも大きな被害を及ぼした長野県北部地震や新潟・福島豪雨など災害が相次いだことから、被災地の早期復興への祈りを込めて実施されました。同市観光協会、商工会議所、「庭野日敬師に学ぶ会」、本会十日町教会をはじめとする地元の団体、企業が実行委員会を構成。同市民や立正佼成会会員ら約2万1000人が参集しました。庭野日鑛会長はじめ渡邊恭位理事長、沼田雄司教務局長ら教団役職者が参加し、行進参加者に声援を送った。9日の「市中行進」には同市の団体をはじめ、本会から61教会が参加しました。
庭野会長は関口十日町市長とともに、行進参加者へ熱心に声援を送った
8日午後、十日町地域地場産業振興センター(クロス10(テン))大ホールで「ふるさと交流会」が行われたあと、隣接するキナーレ(十日町ステージ越後妻有交流館)内の池で「灯籠(とうろう)流し」(美佐島地区振興会主管)が催されました。今回は、新潟・福島豪雨で菅沼に続く車道や大池の護岸が一部損壊したため、同会場での実施となりました。市民や来賓ら約3千人が世界平和、地震や豪雨などの災害からの復興を祈念し黙とうを捧(ささ)げる中、「絆(きずな)」「復興」などと記された大灯籠や全国各教会から寄せられた2200個の灯籠が池に浮かべられました。
翌9日は、同市博物館前遺跡広場内の「庭野日敬先生胸像」前で開会式が行われ、午前9時から「市中行進」がスタートしました。地元の十日町市民吹奏楽団や同市舞踊協会、大太鼓「雪花会」のほか、本会から61教会が参加。マトイ、万灯に加え、神戸教会の「サンバ」や和歌山教会の「ぶんだら踊り」といった地域色を生かした行進が沿道の観客を沸かせました。今年は全国的に自然災害が相次いだことから、多くの教会が被災地に思いを寄せる横断幕やのぼりなどを掲げ、被災地の早期復興を願いました。
十日町市駅通りで行われた閉会式では、「生誕地まつり」実行委員会会長の村山義政十日町市観光協会十日町支部長、泉田裕彦新潟県知事、関口芳史十日町市長のあいさつに続き、約10分間にわたって「追い込み」が行われました。このあと、庭野日鑛会長が登壇。まつりの関係者に深く謝意を表し、参加者をねぎらった上で、「皆さんの元気が、被災された方々に届くと本当に幸せなことだと思います。晴天の中で生誕地まつりができましたことに感謝申し上げます」と述べました。
なお、付近の通りでは、まつり参加者が自慢の芸を披露する「駅通りなんでも自慢カーニバル」が行われたほか、十日町市の地場産品や全国各地の特産品が販売される「全国特産市場」が開催されました。この中で、東北地域の物産コーナーを設置。販売された野菜などの売り上げの一部が義援金として寄付されます。
キナーレ内で行われた「灯籠流し」。被災地の復興を願い2200個の灯籠が池に浮かべられた
旧交温め 成功祈る 生誕地での庭野会長
【ふるさと交流会】
第35回生誕地まつり前夜祭の「ふるさと交流会」が8日、クロス10で行われました。
あいさつに立った庭野会長は、まつりの開催に改めて感謝を表したあと、「七転び八起き」の意味に触れながら、震災からの復興に向けた願いに言及。さらに、「十日町の振興、発展につながれば幸い」とまつりの成功を祈念しました。
交流会は、十日町市民と本会会員代表が親睦(しんぼく)を深め、文化交流を図るものです。十日町市から副市長の村山潤氏、同まつり実行委員会会長の村山義政同市観光協会十日町支部長らが、本会からは庭野会長、佳重夫人、渡邊恭位理事長はじめ教団役職者、25教会の幹部らがそれぞれ集い、計約240人が交流しました。
また、交流会に先立ち、庭野会長は同施設内の会議室で関口芳史十日町市長と懇談。同市では今年、豪雪、震災、豪雨と災害が続いたこと、その中で市民が一丸となって立ち直ってきたことなどが話題となりました。
【開会式ほか】
同まつり当日祭の「開会式」は9日、同市博物館前遺跡広場の「庭野日敬先生胸像」前で行われ、関口市長、村山実行委員会会長らと共に、庭野会長、佳重夫人、渡邊理事長ら計13人が参加しました。
庭野会長はあいさつの中で「きっと皆、元気に行進してくれると思います。まちを挙げての歓迎に御礼申し上げます」と話しました。
なお、庭野会長は8日午後、庭野開祖の「ご生家」、庭野家ご墓所、生誕地道場をそれぞれ参拝しました。また、9日の「開会式」後、十日町教会のご宝前に参拝し、居合わせた会員らを激励しました。さらに、「閉会式」のあと「直会(なおらい)」に出席、泉田裕彦新潟県知事、関口市長らに続いてあいさつし、感謝を表しました。
現地の取材から
○水面に浮かべた「決意」と「感謝」
石巻教会会員から寄せられた感謝と復興への決意の言葉が読み上げられると「灯籠流し」の会場に集った観衆から盛大な拍手がわき起こりました。
「一度は中止も考えたが、被災地のことを思うと、どうしても実施したかった」と語るのは「灯籠流し」を主管する美佐島地区振興会の根津昭治会長です。7月末の「新潟・福島豪雨」が、前夜祭を予定していた大池周辺に甚大な被害をもたらしたため、例年通りの実施を断念せざるを得まえんでした。
現在も一部道路が通行不能なため、この日は市街地のキナーレで前夜祭が開催されました。『復興』『世界平和』……。今年も同会メンバーらの手によって、多くの人の祈りが水面に浮かべられました。
○小さな背中から大きな勇気送る
たくさんの小さな背中から、大きな勇気や元気が発信されました。
4年ぶりに市中行進に登場した川崎教会。この中でマトイや鳴り物で参加した少年部員48人は、被災地を応援しようとメッセージやイラストを布につづり、それぞれの法被(はっぴ)の背に縫い付けて行進に臨みました。「東北の人に早く元気になってほしいという気持ちを込めて書きました」(女性・12歳)。
『がんばろう LOVE 東北』『いっしょにがんばっていきましょう!心をひとつに』。少年部員一人ひとりの背中から発せられたメッセージと、仲間と声をかけ合って心ひとつに行進する様子は、沿道の観衆にも力を与えました。
○『福幸』の文字が躍る山車に声援
黄金色の宝船をモチーフにした熊谷教会の山車『一乗船』が観客の目を引きました。
山車には、『絆』とともに『福幸(ふっこ)』の文字。同教会会員が善友隊(会員ボランティア)で岩手・釜石市を訪れた時に町の至る所で目にした言葉で、人々の心の安らぎや幸せを願う意味が込められているといいます。被災した人々に一層心を寄せたいと今回、会員からの寄せ書きと併せて、『福幸』の2文字を大きく掲げました。
「被災地と心をひとつにし、暑い熊谷から熱い思いを発信したい」と実行委員長。東北の地に思いをはせ、沿道からの声援に笑顔で応えました。
(2011.10.07記載)