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2011年10月29日 中央学術研究所が加盟 国際宗教研究所がシンポジウム

『生者と死者の交流』をテーマに、国際宗教研究所の「生と死」研究会シンポジウム(東洋英和女学院大学死生学研究所共催)が10月29日、東京・港区の東洋英和女学院大学で開催されました。約70人が参加しました。

同研究所は、宗教に関する情報の提供や研究を推進するとともに、宗教者、ジャーナリスト、宗教研究者の相互理解を目指して活動しています。立正佼成会の中央学術研究所も賛助会員として加盟しています。
当日は、同研究所理事を務める渡辺和子東洋英和女学院大学死生学研究所所長を進行役に、同研究所研究員で「自殺対策に取り組む僧侶の会」メンバーの小川有閑師、順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター臨床心理士の西尾温文氏、京都府立医科大学の棚次正和教授が基調発題を行いました。
『自死者と遺族の対話』をテーマにした小川師の発題では、自死者の遺族が自責の念を抱き、故人との対話を求める心理が強いことを説明。自死者に対する偏見が強いという理由から、死因を隠す遺族が多い中で、宗教者には、遺族の心情に寄り添って追悼法要などの儀式を行い、その思いに耳を傾けながら故人との関係を築き直す支援が求められていると語りました。
次いで、西尾氏は『親を亡くした子との交流』と題し、母親を失った7歳の少女を事例に遺族のケアについて解説。患者であった親との死別後、子供が安心して話し、遊べる場(中間領域)が必要と強調し、遊びを通して故人と交流する機会を設けた同医院の「プレイセラピー」の取り組みを紹介しました。また、患者の治療だけでなく、その家族の心理的な苦悩にも寄り添える医療体制を訴えました。
棚次氏は『スピリチュアルケアと人間の存在構造』と題し、特に終末期医療における患者の「スピリチュアルペイン(自己の存在と意味の消滅から生じる心理的な苦痛)」に言及。この苦痛に対するケアは次第に認知されつつありますが、多くの医療従事者は「スピリチュアル」の概念になじみがなく、対応に苦慮しているのが実情と述べました。その上で、代表的な「スピリチュアルペイン」として、「死への不安・恐怖」「他者からの孤立」を挙げ、肉体は滅しても、他者や自然とのつながりの中で生き続けるという不死生に患者が自ら気づける医療サポートが必要と語りました。
このあと、会場を交えた討議が行われ、参加者の質問をもとに意見が交わされました。

(2011.11.04記載)