カンボジアでは、家屋を流された住民らに食糧などの配布が続けられている(写真は、10月20日に実施されたJVCの活動)
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=沼田雄司教務局長)はこのほど、7月下旬からの豪雨の影響で洪水被害が拡大しているタイと、同じく9月上旬からの大雨によって甚大な被害を受けたカンボジアに対し、計280万円の緊急支援を行いました。タイはタイ赤十字社へ、カンボジアではJVC(日本国際ボランティアセンター)とSVA(シャンティ国際ボランティア会)の2団体へ寄託され、被災者の救援活動に充てられています。
東南アジア各国では、7月以降から例年を上回る大雨や台風などによって洪水被害が続いています。国連人道問題調整事務所(OCHA)の発表によると、タイ、カンボジア、フィリピン、ベトナム、ラオスの5カ国で犠牲者は700人を超え、被災者は約800万人に上っています(10月17日現在)。
最も甚大な被害が生じているのはタイです。7月下旬からの豪雨により、北部、中部地方を中心として各地で洪水が発生、家屋や農地が水没し、多くの市民が避難生活を送っています。現在、浸水被害はバンコクまで拡大。今後1カ月間はこうした事態が続くと予測されており、多くの市民が引き続き困難な生活を強いられる見通しです。死者の数もすでに350人を超えています。
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会ではこうした状況を踏まえ、緊急支援を決定。10月21日、本会バンコク教会の小野雅司・財団法人タイ立正理事長がタイ赤十字社チュラロンコン病院を訪れ、資金調達局のパッチャラーワン・チュンブーン局長補佐に70万バーツ(約180万円)の目録を手渡しました。
チュンブーン局長補佐は同基金からの支援に対し、「皆さまがタイの被災者を思い、こうして支援してくださる慈悲の心に深く感謝します」と述べました。
浄財は同病院が行っている被災者の受け入れや、被災地域への医師の派遣などに役立てられます。
一方、カンボジアの状況も深刻です。9月から続く長雨の影響により、過去10年間で最大の洪水被害が発生。死者は200人を超え、避難世帯も4万6千人に上っています。農産物への被害も甚大で、国内の水田の10%以上が冠水したことが報告されています。
こうした事態を受け、同運営委員会では、現地で救援活動を展開するJVC(日本国際ボランティアセンター)とSVA(シャンティ国際ボランティア会)に、緊急支援としてそれぞれ50万円を寄託しました。
現在、JVCは被害の大きい五つの村で当面の食糧となる米の支給を行うほか、牛など家畜を保護するための簡易テント用資材の配布などを実施。SVAも食糧、蚊帳など救援物資の配布をスタートさせました。さらに今後は、これまで支援を行ってきた小学校のうち、被害の大きかった校舎の修復、修繕などに取り組むことになっています。
南アジア国際伝道センター タイ・バンコク 被害の拡大に対応
タイの首都バンコクの中心部にある南アジア国際伝道センターでは、国内で拡大する洪水被害を受け、会員の安否や被災状況の確認を続けるとともに市内への大量の水の流入、また浸水の長期化に備えています。
バンコク中心部の被害は今後、本格化すると予測されているため、同センターは10月末、当面の閉館を決定。現在はスタッフのほか自宅が被災した会員など11人が滞在しています(11月2日現在)。隣接するバンコク教会の会員たちは自宅待機、またはバンコク郊外へ退避している状況です。
今後の災害対応としては、可能な限り被災会員の受け入れに取り組んでいく予定です。また、市内での食糧や水をはじめとする物資の品切れ、品薄状態が改善され次第、被災者へ支援物資の配付なども行いたいとしています。しかし、被害の深刻な地域への搬送手段確保の問題のみならず、バンコク中心部での不測の事態も考えられることから、依然予断を許さない状況が続いています。
(2011.11.04記載)
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