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2013年05月16日 第30回庭野平和賞贈呈式 グナール・スタルセット師へ


諸宗教対話を推進し、世界の紛争地域で平和に向けた和解に取り組んできたスタルセット師。その功績を讃(たた)え、庭野名誉会長から賞状が手渡された

公益財団法人・庭野平和財団(庭野日鑛名誉会長、庭野欽司郎理事長)の「第30回庭野平和賞贈呈式」が5月16日、東京・港区の国際文化会館で行われました。受賞者はノルウェー国教会オスロ名誉監督のグナール・スタルセット師(78)。同師は諸宗教対話・協力を推進するとともに、グアテマラや東ティモール、ミャンマーなど世界の紛争地域で平和活動に尽力し、和解の実現に取り組んできました。国際的な信頼が厚く、ノーベル平和賞委員会の委員を長く務めています。当日は、約150人の宗教者、識者らが見守る中、庭野名誉会長から正賞として賞状、副賞として顕彰メダル、賞金2千万円(目録)が贈呈されました。

スタルセット師は1935年、ノルウェー・ノールカップのフィンランド移民の家庭に生まれました。幼少期には貧困と民族差別を経験し、多民族地域で育ったことで自尊心や他者への寛容性の大切さを学びました。この経験がすべての人間、特にマイノリティー(社会的少数者)の人権と正義を守る活動に取り組むきっかけとなりました。また、祖先から受け継いだキリスト教の信仰が、自身の宗教と政治への使命感を育みました。
ノルウェー神学校を卒業後、62年からハマール教区の青年牧師、64年からミッションスクールで講師を務めました。70年にノルウェー国教会エキュメニカル(世界のキリスト教の教会一致運動)国際協議会の事務総長、85年にはLWF(ルーテル世界連盟)事務総長に就任。LWFでは、東欧で民主化と独立運動が高まる中で加盟教会を助ける一方、南アフリカとナミビアのアパルトヘイト(人種隔離政策)反対運動にも積極的に力を注ぎました。
94年からオスロ大学の学長、98年からノルウェー国教会オスロ監督を歴任。2006年から10年まで、ノルウェー政府の特使として東ティモールの和平調停を担当しました。また、ミャンマーに関する特別ハイレベルフォーラムを開設し、委員長として手腕を発揮しています。
現在、WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会執行委員のほか、ECRL(欧州諸宗教指導者評議会)の議長を務めています。ECRLではイラク、スリランカ、コソボ、キルギスタン、ミャンマーなどでの宗教間紛争の和解に尽力。地雷やクラスター爆弾の全面禁止、HIV/エイズ問題などでも国際的な人道支援を推進してきました。
贈呈式では、庭野平和賞委員会のキャサリン・マーシャル委員長=世界銀行宗教・倫理に関するシニアアドバイザー=により選考経過が報告されたあと、庭野名誉会長から賞状と顕彰メダル、賞金(目録)がスタルセット師に手渡されました。
続いて、庭野名誉会長があいさつ。下村博文文部科学大臣(森口泰孝事務次官代読)、駐日ノルウェー王国大使館特命全権大使のアルネ・ロイ・ウォルター閣下、芳村正德・日宗連(日本宗教連盟)理事長が祝辞を述べました。このあと、スタルセット師が記念講演を行いました。

(2013.05.24記載)