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2013年10月30日 第13回生命倫理研究部会 教団付置研究所懇話会

中央学術研究所が加盟する教団付置研究所懇話会の「第13回生命倫理研究部会」が10月30日、京都市の浄土真宗本願寺派総合研究所で行われました。テーマは『宗教の死生観から問う現代日本の生命倫理問題――出生前診断、終末期医療、再生医療を中心に』。8研究機関から21人が参加しました。今年12月に東京大学で開催される「日本生命倫理学会年次大会」に向けた事前発表として行われたもの。

研究部会では、宗教情報センターの藤山みどり研究員、浄土宗総合研究所の吉田淳雄研究員、天理大学おやさと研究所の金子昭教授がパネリストとして発表しました。
この中で藤山氏は、胎児の異常の有無を確認する出生前診断は、早期に治療体制を整えるのに役立つ半面、選択的人工中絶に安易につながる危険があると説明。出生前診断を望む個人の心情や社会状況なども考慮しながら、「いのちは神仏からの授かりもの」という宗教界共通の生命観をどう伝えていくかが課題と述べました。
吉田氏は、終末期医療に対してあらかじめ自分の要望を明らかにする「事前指示」に言及。延命治療の是非など本人の意思の尊重が問われる中、老いや死といった死生観を一人ひとりが確立することが重要と主張しました。
金子氏は、iPS細胞といった再生医療に対する宗教界の取り組みや見解を踏まえ、「いのちを尊ぶ」という宗教的死生観を基に問題提起を続けていく重要性を訴えました。

(2013.11.08記載)