会議では、被災地で支援活動に取り組む宗教者、市民団体の代表らが、震災から3年が経過した被災地の現状や課題などを報告しました
WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会主催による「復興に向けた宗教者円卓会議in仙台」が5月19、20の両日、宮城・仙台市の仙台国際センターで開かれました。同委員会役員や被災地で復興に取り組む宗教者、市民団体の代表、行政担当者、大学関係者など約100人が参加。立正佼成会から同委員会理事の庭野光祥次代会長、同震災復興タスクフォース委員の根本昌廣外務部長らが出席しました。
本会から光祥次代会長が出席
同委員会理事の光祥次代会長は、発題者の取り組みに耳を傾け、自由討議の中で体験に基づく情報発信の大切さについて発言しました
同会議は、被災地の復興に取り組む人々と共に現地の課題を共有し、宗教者の支援のあり方を模索するもの。一昨年の仙台、昨年の福島での開催に続き3回目。今回は3年間にわたる同委員会の支援活動を総点検し、改めて震災復興に向けた課題を省みる機会として位置づけられました。
19日、杉谷義純同理事長(天台宗宗機顧問)、村井嘉浩宮城県知事らのあいさつに続き、『震災復興の課題と宗教者への期待』と題し2人の基調発題が行われました。
復興庁統括官の岡本全勝氏は、被災地の課題としてインフラの整備、産業の再開、生活環境の充実を挙げた上で、宗教者に対し、人のつながりを維持するための取り組みを促しました。また、元内閣官房震災ボランティア連携室室長で法政大学教授の湯浅誠氏は、子供や災害弱者への支援が将来的に復興の担い手の増加につながり、社会全体の強化に貢献すると強調。宗教団体による「人づくり」の経験が社会で生かされることに期待を寄せました。
続いて、テーマ別に三つのセッションが行われました。『精神的ケア』と題したセッション1では、鈴木岩弓東北大学大学院教授が同大学の「実践宗教学寄附講座」を、島薗進上智大学教授が心の寄り添いを基調とした宗教者による被災者の支援の取り組みをそれぞれ紹介しました。
『地域コミュニティの再構築』をテーマに掲げたセッション2では、せんだい・みやぎNPOセンターの紅邑晶子(べにむらあきこ)代表理事が「市民社会の取り組み」、宮城・名取市の下増田神社氏子総代長の高橋茂信氏が「宗教者による取り組み」について発題。この中で、世界中から集まった支援者たちの受け入れや支援者同士の情報共有の取り組み、神社の再建や祭事が市民の心の依りどころとなっている事例が報告されました。
このあとスペシャルセッションとして、「Date fm」(エフエム仙台)で今年3月まで放送された「ラジオ カフェ・デ・モンク」の出演者の3人が登壇。同番組は毎回、ゲストを招いて震災後に前向きに生きるヒントを聞くもので、3人は収録での気づきや学びを振り返りました。
20日、『地域における社会的弱者への寄り添い』と題したセッション3では、岩手、宮城、福島の3県で被災者の支援を行う宗教者、市民団体の代表ら5人が発題。仮設住宅での自治に関する課題や子供たちへのケア、震災の風化を防ぐ取り組みなどを語りました。 続く自由討議では、フロアからの質疑や意見発表が行われました。この中で光祥次代会長は、宮城・気仙沼市で活動する「本吉(もとよし)絆つながりたい」の母親たちによる取り組みなどに触れ、「体験に基づいた情報を発信して頂くことで、子供を持つ母親が、どのような備えが必要なのかを考える機会になると思います」と発題者らに語りかけました。
最後に、深田充啓同評議員(円応教教主)が閉会のあいさつを述べました。
なお、会議では、来年3月に開催される「第3回国連防災世界会議in仙台」の紹介も行われました。
(2014.5.30記載)
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