「信仰を持つ女性のネットワーク」立ち上げ式で光祥次代会長は、人材を育む上での女性の影響力と役割を説きました
庭野光祥次代会長は10月19日から23日までスリランカを訪問し、20日にコロンボ市内で行われたスリランカ諸宗教評議会=WCRP(世界宗教者平和会議)スリランカ委員会=の地方評議会評価会議にWCRP国際共同議長として出席しました。この中でWCRP同国委員会の女性組織「信仰を持つ女性のネットワーク」の立ち上げ式が開かれ、光祥次代会長があいさつに立ちました。また、同国のマイトリーパーラ・シリセーナ大統領を表敬訪問したほか、中部州キャンディ県で宗教指導者らと面会。根本昌廣立正佼成会外務部長が随行しました。WCRP国際委員会からウィリアム・ベンドレイ事務総長、杉野恭一副事務総長が出席しました。
光祥次代会長は21日、スリランカ諸宗教評議会のメンバーらと大統領公邸を訪れ、シリセーナ大統領と懇談しました
スリランカは人口の7割以上がシンハラ民族で、長年、政府によるシンハラ優遇政策がとられてきました。そのため、1970年代から少数派のタミル民族が分離独立を求めて政府軍と衝突。2009年まで内戦状態が続きました。そうした状況の中、08年にスリランカ諸宗教評議会が発足。対話を推進し、民族や宗教間の和解に向けてさまざまな取り組みが行われてきました。
20日、コロンボ市のホテルで同評議会の地方評議会評価会議が開かれ、仏教、イスラーム、ヒンドゥー教、キリスト教の宗教指導者ら約50人が集いました。会議では、同評議会会長を務めるベランウィラ・アヌナヤカ・テロ大僧正(ラーマニア教団)が開会あいさつ。対立が続いてきた同国での宗教協力推進の意義を力説し、「他者を認め、文化や教育など共通の目的を見いだし、よりよい活動を展開していきたい」と述べました。続いて、11の地方評議会のメンバーが活動報告を行いました。
午後からは「信仰を持つ女性のネットワーク」の立ち上げ式が実施され、女性宗教者ら約20人が参加しました。冒頭、ベンドレイ氏がネットワークの重要性を説明。内戦の続いたシエラレオネで女性宗教者ネットワークによる交渉が和平への役割を果たした事例を挙げ、女性の特長を生かし、違いを認め合いながら連帯していく大切さを強調しました。
次いで、光祥次代会長がスピーチに立ち、自身も4人の子供の母親であることに触れ、未来を担う若者を育てる上での女性の影響力を重ねて強調しました。その上で、アジアでは米を主食とすることから、米作の際に発芽した苗を育み豊かな実りをもたらす“苗代”の役割に言及。「女性こそ、社会の中で平和に貢献できる若者を育てる“苗代”です。このネットワークの始動が、世界の平和を築く“苗代”づくりの第一歩になることを願っています」と語りかけました。
同日夜には同ネットワークの初会合が行われ、内戦で夫を亡くした女性約30人と面会。和解後も続く貧困や差別、子供の教育問題について支援の方向性などを話し合いました。
スリランカ大統領を表敬訪問
光祥次代会長は21日朝、スリランカ諸宗教評議会のメンバーらとコロンボ市内の大統領公邸を訪れ、シリセーナ大統領と30分にわたり懇談しました。
懇談の中で光祥次代会長は、同評議会に女性宗教者のネットワークが設立されたことを報告。世界各地で同様の動きが広がっていることに触れ、いのちを生み、育む役割を担う女性の視点を生かし、活動の場を増やしていきたいと述べました。これに対しシリセーナ大統領は、スリランカと日本は長年、良好な関係にあると説明。その上で、国や世界の平和構築のために宗教の果たすべき役割は大きいと期待を表しました。
同日午後には、中部州のキャンディ県に移動。シーアン教団マルワット派の僧院で同国仏教四法王の一人、ティッボツワウェ・シッダータ・スリ・スマンガラ法王と面会しました。同法王は「他の宗教、文化を受け入れ、共生していくことはスリランカの伝統的な歴史」であり、同評議会の活動が同国元来の調和と共生の精神を強化する、と語りました。
また、シーアン教団アスギリヤ派僧院ではウェンダルウェ・ダルマキーシ・スリ・ラタナパラ副法王と懇談。光祥次代会長は、祖父である庭野日敬開祖の宗教協力の歩みを伝え、紛争や飢餓などさまざまな世界的課題の解決、平和構築のために「上座部仏教の皆さまの深い智慧(ちえ)をこれからもお分け頂けたらと思います」と語りました。
翌22日は、WCRP同国委キャンディ評議会のメンバーと会見。23日には、同国ムスリム政党党首のラウフ・ハキム法務大臣と面会しました。
(2015年10月29日記載)