虹彩(こうさい)をスキャンする生体認証システムで難民登録されるシリア人難民申請者(UNHCRが開設したヨルダン・ザータリ難民キャンプの登録所で)
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=沼田雄司教務局長)はこのほど、長期化する内戦で近隣国はじめヨーロッパに逃れたシリア難民の支援に、2000万円の拠出を決定しました。浄財は、現地で支援活動を行うUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とWFP(国連世界食糧計画)に寄託されます。
シリアでは現在もアサド政権や反体制武装組織、過激派組織「IS(イスラーム国)」などによる戦闘が繰り広げられ、情勢は混迷の度を深めています。
戦火を逃れ、周辺国(レバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプト)に避難したシリア難民は418万人以上。ドイツ政府が難民の大量受け入れを今年9月に表明して以降、安定した生活環境を求め、欧州諸国を目指すシリア難民が急増しました。IOM(国際移住機関)によると、年初から10月下旬までに欧州に流入した難民・移民は約70万人を超え、大半がシリアからの難民とされています。欧州まで数千キロにも及ぶ危険な道のりの中で、これまでに3000人以上が命を落としています。
このような状況下で、UNHCRはシリア難民に緊急キットや寝具、シェルター(仮設住宅)を提供するなどの支援を展開。WFPは、シリア周辺国に逃れた難民に各国で食料と交換できる引換券を配布しています。引換券は、難民受け入れによる過重な負担に苦しむ周辺国への経済的支援にもなっていましたが、深刻な資金不足に陥り、WFPは世界に緊急支援を訴えていました。
こうした事態を受け、同運営委員会は両国連機関への迅速な支援を決定。浄財は、シリア難民へのシェルターや寝具の提供、食料引換券や電子マネーの配布に役立てられます。
なお本年すでに、難民支援として500万円の助成がUNHCRに実施されており、今回の支援を合わせ計2500万円の浄財がシリア難民の支援事業に寄託されました。
(2015年10月29日記載)
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