世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会は9月27日、福島・郡山市のビッグパレットふくしまで「フクシマコミュニティづくりプロジェクトの集い」を開催した。同プロジェクトで支援するNPOや自治体組織など39団体から約90人が参加。本会から、震災復興タスクフォースの熊野隆規時務部長が出席した。
WCRP/RfP日本委は震災復興支援の一環として2014年10月に同プロジェクトを始動。これまで7期にわたり、東京電力福島第一原子力発電所の事故により県内外で避難生活を送る人々への支援活動に取り組む、延べ102団体に約1955万円を助成してきた。今回の集いは、各団体の取り組みを通し、福島の真の復興について学びを深めることが目的。
当日は、震災時の障害者支援や、放射能問題、伝統芸能の再生など五つのテーマに沿って、NPOや自治体組織など5団体が活動報告を行った。この中で、「子育てたすけあいサロン きんれんか」の栁沼里沙事務局員は、山形県に避難する親子を対象に行う「よるごはんの会」や「宿泊交流会」の様子を紹介。同年代の子供たちが触れ合うことにより、放射能の影響で外遊びができない子供たちの精神的ケアになるだけでなく、集団行動を通して「おかえり、ただいまなど日常のあいさつや、相手を思いやる心を学ぶ場になっている」と発表した。
また、NPO法人「ふくしま30年プロジェクト」の佐原真紀、清水義広両理事は、放射能問題に取り組む上で、「行政に代わるセカンドオピニオン的役割」の重要性を強調。住民が抱える放射能への不安を解消し、安全な生活を回復するために、食品や生活環境の放射能測定を行うほか、子供向けの「放射能ワークショップ」や、母親同士の交流会などを開き、正しい情報を得る機会を設けていると語った。
次いで、「大熊町ふるさと応援隊」の本田紀生事務局長が、全住民が町外避難する同町のコミュニティーを再生するため、同プロジェクトの助成金で「大熊町ふるさとまつり」を開催すると報告。その上で、帰還困難区域の指定が解除された際、若者を中心に住民が支え合って町づくりを進めていけるよう、今後も祭りやイベントなどを通して人と人のつながりを結び直していきたいと語った。
午後は、各テーマに分かれて情報交換を行った後、全体での分かち合いが行われ、現在の福島の状況や課題点などが挙げられた。また、参加者からは「放射能問題に取り組む上で重要なのは『多様な考えを認め合う』こと。宗教宗派を超えて世界平和に取り組むWCRPから『他者を認める姿勢』を学んでいきたい」との意見が出された。
(2016年10月 6日記載)
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