庭野平和財団による「第3回宗教団体の社会貢献活動に関する調査」の報告とシンポジウムが12月1日、佼成図書館視聴覚ホールで行われた。テーマは『宗教団体の社会貢献活動は「無関心」から評価に変わったか?』。宗教者やマスコミ関係者ら50人が参加した。
「宗教団体の社会貢献活動に関する調査」は2008年から4年ごとに、國學院大學の石井研士副学長(宗教学博士)の協力を得て行われている。3回目の今回は、今年6月に全国の男女1185人から11項目について、個別面接による聞き取りで調査。当日は石井氏が結果を報告した。
今回、「宗教団体が行っている社会貢献活動を知っているか」の質問には、42.5%が「知っている」と回答。初めて40%を超え、これまでで最も高かった。
また、宗教団体の社会貢献活動に対し、「 立派な活動で、もっと活発に行ってほしい」が前回より上昇し23.9%。「宗教団体が勝手にやっていることなので、やめた方がいい」は4.8%と初めて5%を下回った。
期待する社会貢献活動については、「平和の増進に関する活動」が36.8%、「災害時のボランティア活動」が32.1%。「期待する活動はない」は28%、「わからない」は6.2%で批判的な意見は減少傾向を示した。
一方、「信者になることを前提にしないならば、参加してもよいと思う社会貢献活動は?」の問いに対し、「参加したい活動はない」が最も多く、41.2%。次に多かった「災害時のボランティア活動」の26.4%との差は大きかった。
石井氏は結果について、「宗教団体の社会貢献活動に対する認知・評価は上がっている。それでも半数を超えておらず、実際に行われている活動の状況に比べて認識は低い。宗教団体と一緒に活動しようという雰囲気も依然としてなく、その理由を考えていくことが必要」と語った。
この後、石井氏に加え、浄土宗総合研究所の戸松義晴主任研究員と大阪大学大学院の稲場圭信教授が登壇し、パネルディスカッションが行われた。今調査を踏まえ、稲場、戸松両氏は、宗教団体の社会貢献活動の報道は少なく、過激な組織の問題や、宗教団体の不祥事などを大きく報道するマスメディアから多くの人が影響を受けていると指摘。また、社会のニーズに一層応えていく宗教者や宗教団体の活動の必要性が強調された。
なお、これに先立つ11月21日には京都市内のホテルで記者会見が行われ、報道機関に同調査の結果が発表された。
(2016年12月 8日記載)
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