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2002年03月20日 ACRP6 6月開催決定

米国同時多発テロ事件、米英両軍を中心としたアフガニスタン攻撃などの影響によって延期となっていたACRP6(第6回アジア宗教者平和会議)が、本年6月に開催されることが正式に決定しました。開催地は当初の決定通り、インドネシア・ジョグジャカルタ。本会議の会期は6月24日から28日までとなっています。大会のメーンテーマは『Asia,The Reconciler(アジアの和解と協力)』。アフガニスタンや朝鮮半島問題など、世界の「新たな火薬庫」とも言われるアジア地域の諸宗教指導者が一堂に会し、共生、和解に向けた行動計画の策定を目指す同大会には、各方面から大きな関心が寄せられています。

ACRP6は当初、昨年11月3日から7日の開催に向けて、ACRP事務局や執行委員会、インドネシアの宗教者、アジアの各国委員会などの間で調整、準備が進められていました。しかし、昨年9月11日に同時多発テロが発生。その後、アフガニスタン攻撃へと事態が悪化し、パキスタン、インドをはじめとする周辺諸国のACRP役員、参加者のインドネシア渡航が困難になったため、やむなく開催延期が決定されました。
ACRP事務局では、その後、大会開催に向けて新たに調整を進め、昨年12月には飯坂良明ACRP事務総長(聖学院大学学長)がパキスタンを訪問。ミル・ナワズ・カーン・マルワットACRP実務議長(世界イスラム協議会副事務総長)と大会の期日等を協議し、諸般の状況を勘案した上、6月下旬の開催で合意しました。その後、ACRP全体の意見が集約され、6月24日から28日までの本会議日程が決まりました。
開催地、会場は予定どおりインドネシア・ジョグジャカルタのシェラトン・ムスティカホテル。大会のメーンテーマ『アジアの和解と協力』のもと、サブテーマ(研究部会テーマ)として『平和的共生のための和解=軍縮と安全保障』『公正な持続的開発のための和解=経済開発と環境』『いのちを尊ぶ共同体のための和解=人間の尊厳と人権』『調和ある家庭のための和解=女性、子ども、男女協力』『平和の文化を育てる和解=平和のための教育と奉仕』の5つが設定されました。また、本会議のほかにACRPユース(青年)キャンプ、女性会議、管理委員会、紛争和解円卓会議なども行われることになっています。
大会には、ACRP加盟各国の正式代表約130人をはじめ、オブザーバー・友愛代表、紛争地域代表など合わせて約450人の参加が見込まれています。日本からは、21人の正式代表を含む約100人の代表団が派遣される予定です。

飯坂良明ACRP事務総長 談話

開催が延期されていたACRPVIの会期が、6月24日から28日に決定しました。WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会のメンバー並びに関係各位のご理解とご協力に心から感謝申し上げます。

昨年9月の同時多発テロ事件以後、イスラーム国であるインドネシアの国情が心配された時期もありましたが、ジョグジャカルタは治安が安定しており、11月の開催に向けて現地では準備が整えられていました。しかし、空路の状況が悪化し、特にパキスタン、インドからの参加が難しくなりました。メンバーの欠席が想定される中で、さまざまな重要な決定に差しさわりがあってはならないとの配慮もあり、やむなく開催の延期が決定されたのであります。
開催延期という事態に見舞われたACRPVIですが、私は延期に伴う約7カ月の期間を、今度の会議をより実質的なものにするための神仏の計らいと受けとめております。
私は今年に入り、パキスタンとインドを訪問し、両国の国内委員会のメンバーと会い、実務議長のマルワット師とじっくり話し合いました。パキスタンではアフガニスタンの人に面会し、ACRPとして、アフガニスタンの復興に対してどういうお手伝いができるかを検討しました。援助物資の公平な配布ルートなどについて情報を収集することもできました。また、日本の外務省とも連絡を取っています。アフガニスタン救援に関しては、小委員会を設置するなどの具体的な活動に向けて、すでに模索を始めている段階にあります。

その動きの中で、ACRPVIにアフガニスタンからオブザーバーを招くことが現実味を帯びてきました。同国以外にも、ラオス、カンボジア、ベトナムのインドシナ諸国、東チモールなどからも代表が参加するめどが立ってきています。大会への期待が高まり、より多くの国から参加者を迎えられることは、対話・協力を進める上で大切なことです。
また、テロ事件以後の一連の状況を通して、私たちが掲げた大会テーマ『アジアの和解と協力』はますます意味合いが深まり、重要性を持ってきたと言うことができます。
昨年10月、WCRP国際委員会はニューヨークでシンポジウムを開き、武力による報復を諌めるメッセージを発信しました。現実には、残念ながら大規模な武力が行使されましたが、一方で、武力という手段が問題の根本的な解決につながらないこともまた、明白になったと思います。
ACRPは当初から、マハトマ・ガンジー翁の「非暴力」の精神を活動の大切な柱としてきました。暴力という手段では問題を解決できない。心底から和解し合うこと、その方途を探ることこそが今後の世界にとってなお一層重要である。私たちアジアの宗教者は、何度でも繰り返し、ますます声を大にしてそのことを訴えていかなければなりません。

さらに、ACRPVIではイスラームの人たちの声に耳を傾け、イスラームと他の文明との対話、相互理解を推進していくことも、重要なテーマの一つとなると思われます。そのようなことも鑑みながら、大会の最終準備を進めていきたいと考えております。
現地インドネシアでは、イスラームの2大組織、さらにキリスト教などが協力して準備を進めてくださっています。民族、宗教などさまざまな問題を抱えるインドネシアで宗教協力の気運が高まることは、同国の発展と、今後のアジア諸国の活発な宗教交流の足がかりとなるに違いありません。大会では、民族紛争の現場で和解に尽力している人たちの話を聞くプログラムも盛り込まれる計画です。
このように、ACRPVIへの期待は、ますます高まっているというのが私の実感です。その自負と自覚を持って大会に臨むことが、私たち宗教者の役割でありましょう。

(2002.03.20記載)