NGO(非政府機関)間の相互理解と連携を目指す「国際協力を促進する仏教者ネットワーク」が、庭野平和財団の支援のもと、本格的な設立準備を進めています。7月6日には、東京都港区の浄土宗大本山・増上寺で設立に向けてのシンポジウムが開催され、NGOの役割と今後の海外支援について討議されました。
同ネットワークは、仏教思想に根ざした国際的なNGO活動の充実を図り、日本国内各団体の相互交流と協力体制の確立を目指しています。タイやスリランカ、カンボジアなどアジア地域では、これまで日本の仏教団体が個別にNGOを立ち上げ、現地での活動を展開してきました。
そうした現場に携わる仏教者が互いに交流を図り、協同意識を持って諸問題に取り組めるよう、団体間のネットワーク作りが以前から模索されていました。そこで平成12年から、庭野平和財団は同ネットワークの立ち上げ事業をプログラム助成として支援。現在、設立に向けてシャンティ国際ボランティア会(SVA)を中心に、一食平和基金(立正佼成会)、ありがとう基金(妙智會教団)などから代表者が集まり、準備を進めています。
6日には、東京・港区の増上寺で『仏教・NGO・市民社会―現代における慈悲の社会化』をテーマに設立に向けてのシンポジウムが開催されました。
はじめにタイの上座部仏教僧侶プラ・パイサン・ウィサーロー師が基調発題を行い、農村の経済支援や環境保護を行う「開発僧」の活動を紹介。物質的な支援と共に、仏教の教えを生かした〝心の支援〟の必要性を示しました。
同じく基調発題に立った西川潤・早稲田大学政治経済学部教授は、利益偏重の経済開発を批判。「慈悲」「中道」といった仏教の真理に基づく社会変革を提唱しました。
続くパネル・ディスカッションでは、野口親一・庭野平和財団事務局長が進行役を務め、伊藤佳通・仏教救援センター理事長、枝木美香・アーユス仏教国際協力ネットワーク・プログラム・オフィサー、手束耕治・シャンティ国際ボランティア会事務局長、根本昌廣・一食平和基金運営委員会事務局長の各氏が、同ネットワークが担うべき今後の役割について積極的に意見を交換しました。
(2002.07.10記載)
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